第11話
結局・・・
私は夜になっても、その場所から動かなかった。
・・・というか動けなかった。
自分が何をしたいのか、
どうすればいいのか分からない私は、
ずっと交差点で横を通り過ぎていく人をの群れを
観察していた。
人を見るのは面白い。
自分とは違う・・・
他人を見ていると、それだけで分かる。
これから家に帰る人・待ち合わせの人。
買い物の人・散歩中の人・・・
でも、みんな楽しそうな人たちばかりではない。
落ち込んでいる人・泣きそうな人
怒っている人・当り散らしている人・・・
誰もが気持ちを抱えてる。自分だけの気持ちを・・・
ここにいる人達は、私が見えているのだろうか?
・・・
いいや、見えていない。
と言うか、見る必要がない・・・
それだけ自分の事で、いっぱいな人たちばかり。
つまり、自分の家族・恋人・友達・自分自身・・・
そんな温かいものでいっぱいの人たち。
うらやましい人たち・・・
私には? 何も・・・ない・・・?
家族も友達も、自分自身ですら私にはない。
・・・そう思った時、突然寂しさが襲ってきた。
私にはそんな風に想ってくれる人が、誰もいない。
そして、
自分自身ですらそれを手に入れる事を
あきらめてしまっている。
何も出来ないし、何もない・・・
そう思い
あきらめてしまった自分が寂しい存在に見えた私は
その場に座り自分を抱きしめた。
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