分岐点

第8話

“この交差点を渡ったら、何処にいける?

 この先に何があるの? いい事でもある?”


そんなことを考えながら、交差点を見据える。


しかし、


“私は・・・ここに出てきてもやっぱり何も変わらない。


 人に使われ、人に振り回されるだけで、

 自分すら守れずに、ぼろぼろになる。


 そんなちっぽけな者。


 私と同じ様な人はこの世界にどれくらいいる?

 もしかして・・・わたしだけ・・・?”


ここまで来ても、田舎と同じ事を考えながら、

私は交差点の信号機にもたれかかり、人を見ていた。





何時間も・・・




それから

どれぐらい経ったか分からない。



それなりの時間が過ぎた時、ふと・・・音が気になった。


“バイクの音? 2台・・・かなぁ”


その時、真っ白な車体の大きなバイクが2台、

並走したまま、タイミングもばっちりで交差点に進入し

自分の前を横切っていった。


『仲良くて、楽しそう・・・』


私はこの時、そうつぶやきながら、

走り去るバイクを、ぼーっと見つめた。


まさかそのバイクの一人が、

自分に気づいているとは知らずに・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る