出発!

第7話

私は、引越しの前日に叔母の家に出発した。


大きな荷は先に送り、届いたと連絡があった。

だから持ち物はリュックのみ!身軽だ。


叔母の家へは、JRの駅まで1時間、

その後JRで5時間以上かかる。


(私はそんな辺境の地に住んでる・・・)


だから、始発に乗っても午前中はつぶれる。



そのことを考えて前日朝一で出発。


その日の昼過ぎには叔母の住む街の駅に着いた。


しかし、駅で叔母の姿を探しても見つからない。

駐車場にもいなかった。


私は不思議に思い、叔母の家に電話をかける。

すると次男・真次が出た。


『あの、叔母さんは?』


私がそう問いかけると、真次は楽しそうに


「母さんから伝言♪


 今日は予定が入ったから家に泊まれないって。


 半日は自分でどうにかしろ

 後、明日は朝一で来い・・・


 だとよ。クックックッ」


『えっ!

 じゃあ迎えもなしで、

 家も泊まれないって事ですか?』


「フッ そうみたいだなぁ~」


『前日に行くって電話で話したのに?』


「それはお前の勝手で、お袋にも予定があんだよ。

 そんじゃあな」


ガシャン-電話を切られた。



『何も分んないとこなのに、

 ここでどうやって一晩過ごせっていうの・・・』


愚痴ってはみたものの、

結局叔母にとっての私はお手伝いさん。


大事な家族でもない。知り合いでもない。


だから・・・大切にはされる訳はない。


“しかたない。でも、これからどうしよう・・・”



お金はJR代しかもらってない。


私の親は、駅についてから先は

叔母任せにしていたので、宿泊代はない。


だから、泊まる事は出来ない。

(12歳だから当然、だめだろうし・・・)


ココに住んでいないから、土地勘なんて皆無。

明日の朝までどうしよう・・・




私はとりあえず、ぶらぶらと歩き始めた。


駅にいても仕方がない・・・

という気持ちから、外に出たのは良いが、

何処に行けば何があるのか分からない。


“それにしても、リュックひとつで来て良かった。

 トランクなんてあったら大変”


なんて思いながら、私は大きな交差点に着いた。

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