第6話

家でも学校でも人形のように生活し1ヶ月が過ぎたころ

突然都市に住む親戚から連絡があった。


何でも私を引越しの手伝いに貸してくれないか。

ということらしいのだが、まったく状況が分からない。



確認してみると、叔母の長男(つまり私の従兄弟)

の引越し作業の手伝いに来て欲しいらしい。


作業は1日で済むのでその後は

1週間でも休み中でも泊まって良いと言われ、

私は即OKした。


“こんなチャンスめったにない。

 去年だってすぐ返されたし・・・”



その後、日程はすぐに決まり、

休みに入ってから1週間後、

親戚の家に行くことが決まった。


この叔母は何かあるとすぐに親戚の手を借り、

自分や自分の家族が苦労しないよう、

要らない出費がないように行動する。



今回も同じ事で


“自分は娘と買い物に行きたいから・・・”


と、私をこんな田舎から呼んだらしい



そんな事情があるにせよ、私にとっては好都合。


面白くもない学校と家庭を

この楽しみひとつで乗り越えた。






そして夏休み


最初の一週間でほとんどの宿題を終え、

残りは持って行こうと思い荷物の中に入れた。




出発する2日前、私は叔母に連絡を入れる。


『引越し当日、朝一からですよね。


 こっちから行くのに半日かかるので、

 前の日から言っていいでしょうか?』


「えっ!前日に来るの?・・・

 まぁそこからじゃ仕方ないわね」


『それでは、前日の昼には駅に着きますので、

 迎えよろしくお願いします。』


「分かったわ。それじゃその日に・・・」


そんな話をした。



“後は私が行くだけ、しっかり役に立ってこよう”



そう思いながら眠りについた。

まさかあんなことになるとも知らずに・・・

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