第4話

3つ年上の兄は、

私と同じくらいの身長で見た目も変わらない。


が、この家で育った、ただ一人の男だった。


祖父母にとっては、自分たちの息子は亡くなってしまい

女系になってしまったため、兄を大切に育てた。

そして、父・母もそれに従った。


だから、兄が帰宅すると

さっきまで起こっていたけんかはピタリと止み、

兄の周りでごきけん取りが始まる。




それは見ていて余り良いものではない。


私はそんな兄と家族をあきれたような表情で

見ていたらしいのだが、それがいけなかった。


兄は両親に私をそばに置くなといった。

自分を馬鹿にしているからと・・・




そのときから私は家の中での存在がなくなった。




日々の生活は学校以外は手伝いにおわれ、

兄が何か問題を起こすと


「息子はそんなことしませんよ。この子でしょ?」


と、私のせいにされ、その罰を受けるようになった。



家ではお手伝いと身代わり人形・・・

そんな生活を送っていた。

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