第7話 かよ

「おばあちゃん、おばあちゃん!!」

「はいはい。どうしたね」


 かよは、御年90歳。足腰が丈夫で元気一杯。会話もしっかりして、まだらボケが可愛い。土日になると近所のお友達とグランドゴルフに行くが、今日は孫の壮太を連れてお出かけ。おじいちゃんのただしが運転で30分かけてやっとこそ目的のショッピングモールに着いた。


「僕ね、ゲーセンに行きたい。UFOキャッチャーして、あとはガチャガチャして、おもちゃも欲しいな!!」


「はいはい。そうね。わかったよ。わかったけど、走らないでくれる? ゆっくり行きましょう」

「ばあさん、エコバックは持ったのか?」

「え、待って。車に置いてたわ。あった、あった。壮太。自分のバック忘れてるよ」

 かよは壮太にバックを渡した。

「はーい」

 結婚して70年。見合いで顔を見ずに籍を入れた。一度も別れずにずっとここまで来たのはお互いに何かを我慢して耐えてきた気がする。嫌なこともあるけれど、どうして一緒にいるのか。年を取っても手を繋いで歩くことを忘れない。

「あ、僕も手、つなぐ!!」

 孫が横にいることも心があたたかい。

「そうだね。一緒にね」

 しわしわのおばあさんになっても一緒にいようと誓ったこと忘れてない。

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恋をしたら 餅月 響子 @mochippachi

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