第9話 心春
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OLの給湯室は話が次々と止まらない。入社して10年目の佐々野 心春は、新人の木村実花の話に耳を傾けた。
「実は、先週の日曜日にディズニーランド行ってきたんですよ。楽しかったですよ」
「え、そうだったの? あれ、彼氏と?」
「あ、いえ。うーんと、友達となんですけどね。リニューアルして混んではいたんですが、やっと行けたんですよ、満足です、私」
「そう、それはよかったわね。私は先月、彼とカルフォルニアのディズニーランド行ってきたわ」
「まさか、それ。私にマウント取られてます?」
「ううん。違うよぉ~。報告だって。私、結婚するから」
「ま、マジっすか」
実花はドヤ顔の佐々野に負けたと言ったような顔をする。実花が立ち去った後、廊下で腕を組んで聞いていたのは彼氏である上司の斎藤部長だ。
「おいおい、どんな、ほら吹きだよ。いつ、俺が結婚するって言ったんだ」
「負けたくないの。年下に! 良いでしょう、それくらい。いずれそうなるんでしょうから?」
「……マジか。俺が一番びっくりしてるけど?」
トレイに乗せたコーヒー入りのマグカップが、カタカタと鳴っていた。予想外な話に斎藤は穏やかではない。
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