第11話 麗万

 カフェのテーブルに2人で座っていた。


 駿介しゅんすけは、スマホの時計をチラチラと、気にしている。大学授業の終わりに新作のフラペチーノを飲もうと一緒に来ていたが、落ち着きのない駿介に麗万れまは、イライラし始めた。


「ねぇ、おいしい?」

「え? ……ああ。まぁ、これ甘くておいしいよね」


 駿介は、ストローをチューチュー吸っている。特にコメントもさらりとしていた。さらに麗万は額に筋を作る。


「せっかく久しぶりのデートなのに、そんな感じなの?」

「ああ。悪い。寮のルームメイトからライン来ててさ」

「いっつも、それだ。私とどっちが大事なのさ」

「うーんと、友達?」

「……はっきりしててさ、ほんと、逆にすがすがしいわ!」

「いいじゃん。こうやってフラぺを飲めるんだから。今日は特別にバイト休みもらってここに来てるんだぞ? ありがたく思えよ」

「ぶーー。なんて言ってここに来たの?」

「実家の母が来てるから、どうしても休みほしいって」

「私は母親ですか?!」

「そうでもしないと休み取れないんだって。おっと、そろそろ行くな」

「え、まだ5分しか経ってない!!」


 麗万は、立ち去っていく駿介に手を振ったが、こっちを見ていない。

 駿介は、かかってきた電話に夢中だ。

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