第7話

 第9章 - 和歌山の深層


 香川での調査を終えたミヤザキは、次なる場所として和歌山を選んだ。坂東の陰謀を追い詰めるためには、ウクライナと香川の研究所で得た情報をつなげる必要があった。その手掛かりが、和歌山にあると確信したからだ。


 和歌山は、海と山に囲まれた静かな地域として知られているが、近年では一部の企業や産業が進出し、経済的な動きが活発になっている。その中でも、ミヤザキが注目していたのは、和歌山にある「防衛技術研究所」という、表向きは軍事技術の開発を行う施設だった。内部の情報を調べたところ、この研究所もまた、坂東のネットワークと繋がりがあることが判明していた。



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 和歌山に到着したミヤザキは、まず町の様子を観察することにした。


 和歌山は、外から来る者を引き寄せるような華やかさがなく、むしろ静かで落ち着いた街並みが広がっている。しかし、夜になると、どこか異様な雰囲気が漂う。ミヤザキは、夜の街を歩きながら、研究所周辺の地図を広げて考え込んだ。


「坂東がここで何をしている…?」


 その問いに対する答えは、すぐには見つからなかったが、彼の直感は確信を持っていた。ここには、まだ明かされていない重大な秘密が隠されている。



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 深夜、ミヤザキは防衛技術研究所に忍び込む計画を立てた。


 和歌山の研究所も、香川と同様に高いセキュリティが施されていたが、ミヤザキはどこにでも潜入できる技術を持っている。静かな町並みを抜け、目立たない道を選んで研究所に接近。壁を乗り越えて施設の裏手に回り込み、そっと隠し扉を見つけた。


 扉を開けると、内部は思ったよりも広く、冷たい空気が漂っていた。電気が点いている一部の研究室を通り過ぎ、目的の場所――セキュリティセンターへと向かう。



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 セキュリティセンターに到達すると、ミヤザキは無線機を使って研究所内の状況を把握した。


 外部からのアクセスはほとんどないはずだが、内部では警備員が数名警戒している様子だ。ミヤザキはその動きを観察し、警備員が交代するタイミングを見計らって行動を開始した。彼は巧妙に施設内のフロアプランを記憶し、次第に目標であるデータルームへと接近する。



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 データルームにたどり着いたとき、ミヤザキはすでに深刻な状況を感じていた。


 内部には大量のコンピュータとサーバーが並び、モニターには無数のデータが流れ続けていた。ミヤザキがその中で見つけたのは、またしてもウクライナに関する情報だ。しかし、そこには以前のデータとは異なる内容が含まれていた。それは、坂東が手に入れようとしている「人体改造技術」の詳細だった。


「坂東が進めているのは、兵器開発だけではない…」


 その技術は、すでに一部で実用化されており、改造された兵士たちが特定の任務をこなすために育成されているというものだった。彼の計画は、ただの武力による支配にとどまらず、人間そのものを軍事目的で改造し、新たな兵器を生み出すことにあった。


ミヤザキはそのデータを素早くダウンロードし、次のステップへと進むべく、研究所内を移動し続けた。しかし、その時、突然、足音が響き渡った。セキュリティシステムが作動し、警備員がすぐそこまで迫ってきていた。



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追い詰められたミヤザキは、冷静に行動する。


足音がどんどん近づいてくる中、彼は暗闇に身を隠し、目の前の廊下を通る警備員が通り過ぎるのを待った。息を殺しながら、彼はその瞬間に合わせて脱出経路を確認する。全てが順調に進んでいるように見えたが、突然、後ろから声が聞こえた。


「おい、あの男…!」


ミヤザキは振り向きもせず、警備員が叫ぶ声を背後に残して全力で走り出した。何度も曲がりくねった廊下を駆け抜け、ついに非常口にたどり着く。扉を開けると、外の夜の闇が広がっていた。



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和歌山の町の外れで、ミヤザキは再び一息ついた。


息を整えながら、手に入れたデータを確認する。ウクライナの兵器と人体改造技術、そして坂東の背後にいる「新たな支配者」の存在。これらの事実が明らかになるにつれ、ミヤザキは次にどんな行動を取るべきかを考え始めていた。


「坂東を止めなければ…世界は確実に破滅する。」


彼の目の前には、さらに大きな戦いが待ち構えていた。しかし、ここまで進んできた以上、もう後戻りはできない。


次回へ続く――


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