第4話 ありえない偶然
例外的なことなんですが。
ミカエルのメッセージ付きで、新しいミッションが与えられた。
どうしても早急に潰さなきゃならない人物なんです。同時に並行しての仕事になりますが、あなたならこなせるでしょう。
ターゲットの顔を見たマリィの頬が強張った。
それは、マリィにとって初めての男、
しかしながら、与えられた仕事をこなす以外、今のマリィにできることはない。母の借金は返し終わったが、父の治療のためには特別な環境と先進医療を必要としている。精神の傷痕が父の身体に重大な影響を及ぼしてしまったのだ。
IT系の社長になっていた
初めて抱かれた高校生のとき、
別れを告げた。
あえて遠隔地の大学に入った。ストーカー行為はやんだ。
言語を習得するとは、その国の文化を知ることにほかならない。ますますドイツが好きになった
まずまず順調に生きてきたと言えるだろう。しかし、卒業して外資系商社に就職し、半年ぐらい経ったころ、母が莫大な借金を残して失踪した。人生が大きく揺らいだ。その結果、マリィ・ゴットベルクが誕生することになる。
すぐにでも抱こうとする
もう少し、のところで身をかわしながら逢瀬を重ねた。そしていよいよ決行の日は来た。
細かな水滴が降り注ぐ音が聞こえてきた。飛びかからんばかりの勢いの
「早かったのね」
「早いのは嫌いか」
「時と場合によるわ」
「心配するな。たっぷり楽しませてやるから。忘れられない夜にしてやる。俺がほしくて、その体はむせび泣くんだ。覚悟しろよ」
初めての男に再び抱かれるのは不思議な気分だった。ダルマ落としみたいに中間を飛ばされて、時が繋がった。
「ん?」
「どうしたの。まさか、終わっちゃったの?」
「ふん、そんなわけないだろ」
激しく
長かった。ひたすらに。だがマリィはプロだ。余裕でこなした。
ベッドで並んで天井を見つめた。眠ってしまうかと思ったが、
「なあ、マリィ」
「なあに」
「おまえ、
マリィは凍りついた。それでも、顔には出さなかった。
「こんなときに、ほかの女の話をしないでちょうだい」
「だよな。そんなわけがない」
「なにが」
「君に負けず劣らずの
顔は変えたが、声はいじっていない。骨格などが変わったことで多少の違いはあるだろうが、基本的には同じだ。
「あら、妬けるわね」
「好きで、好きで、たまらなかった。でも、俺は若すぎた。体でしかそれを表現できなかった。本当は、せつなくて愛おしくて、ずっと見つめていたかったのに。俺の親友に恋してると気づいていたから、よけいに焦ってしまったのかもしれない」
意外だ。とてもではないが、そんなふうには思えなかった。欲望のままに
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