5
「
「なんでバラすの…?」
私は怒りを交えながら尋ねる。
「その方が戦いやすいだろ?」
「なぁ?」
「あかり、幻滅したよね?」
「それでも助けるから!!」
グイッ!
私は
「
「ここで戦ったらあかりちゃんだけじゃなくて」
「先生や高校のみんなにも
「そんなの絶対にだめ!!」
「退学になったって構わない!」
「そもそも高校行く気なかったんだから!!」
「だったとしても、私は
「
あっ……。
「
「おい、お前ら、やれ」
「お、なかなかやるな」
「さすが俺の顔に傷つけた姫だけのことはある」
「仕方ねぇ、
「まだまだぁ!」
「うるせぇな」
「
あかりちゃんが悲鳴を上げる。
どうしよう…。
だけど後悔したって遅い。
自分しか助けられないんだ。
ならもう、やるしかない!
「あかりちゃんは私が絶対助ける!」
私は向かっていくも
「きゃっ!」
「ゆきのん!!」
あかりちゃんが叫ぶ。
「総長の姫なんだからさ、大人しくしてな?」
「総長の姫!?」
あかりちゃんが驚きの声を上げると私の顔が青ざめる。
あ……。
私も知られちゃった……。
それでもいい。
「へぇ、まだ立ち上がるんだ?」
「ゆきのん、もういい! 逃げて!!」
「あの時は付き人として見てたけどさ」
「前もそうやって助けようとしたね」
「う…」
ガラスが割れるような頭痛に襲われ倒れかけると、
私の右腕を掴んで支える。
「離し…」
「辛いだろ。眠っとけ」
「私は…眠らない」
「あかりちゃんは…私が…助けるんだ」
「
あ…来てくれた……。
「姫、ここで見てろ」
「てめぇら、行くぞ!」
殴り合いの喧嘩が始まった。
下っ端達は次々に倒れていく。
ドスッ。
鈍い音が響いた。
ズキン!
「ッ…」
ガラスが割れたような痛みに襲われ、
ドクン、ドクン、と胸がざわめき、
中2の夏の喧嘩の映像がチラつく。
逃げたい。
逃げ出してしまいたい。
だけど、あかりちゃんと
やめて、お願い。
もう、やめて――――!
ズキン!
茨が物凄く暴れたような強烈な痛みを感じる。
「あぁっ…!」
私は両手を頭に触れながら狂い叫ぶ。
「ゆきのん!?」
「
あかりちゃんと
「やめだ!」
止まっ…た……?
頭、優しく撫でられ……。
「姫、苦しませたな」
「コラー! 待てー!」
「てめぇら、
行っちゃった…。
良かった……。
「
私は笑う。
「頭痛は治った。助けてくれてありがとう」
ほんとはまだガンガンするけど。
「ゆきのん!」
解放されたあかりちゃんが駆けて来て、私をぎゅっと抱き締めた。
「無事で良かった!」
「怖かった、怖かったよぉ…」
あかりちゃんは泣きじゃくる。
「うん、あかりちゃんも無事で良かった」
「
「分かった」
「おう」
あかりちゃんは
ふたりきりになっちゃった……。
「嘘付きやがって」
「え?」
「頭痛ずっと我慢してただろ?」
「…あはは」
「バレバレだね…」
「まだ動けなそうにないから出来れば飲み物欲しい…」
「分かった」
あ……。
やばい、ガンガンする。
どうしよ、一人になったらなんか急に気持ち悪く…。
ズキン!
ガラスが割れるような痛みに襲われる。
「う…ごほっ…」
私は右手を口に押さえて吐く。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
良かった、一人の時で…。
こんなとこ好きな人に見られたくないもん…。
だけど……、
も、だめ…。
「
私は胸の中で倒れた。
「大丈夫か!?」
「
「何言ってんだ!? 自分の心配しろよ」
「そう…だね…」
私は転がる缶ジュースを見る。
「あ…グレープジュース…?」
「あぁ。
「うん……」
ズキン!
茨が荒れ狂って暴れたような今までで一番の痛みに襲われる。
「あぁっ!」
「
「
「怖いよ…」
「宙くん…お願い…眠らせ…ないで…」
「
「俺がついてる」
「だから…」
「今は眠れ」
なんで?
なんで…そんなこと言うの…?
いつもの空き教室で言うみたいに、
ミスターコンで歌ったみたいに、
眠らせないって言ってよ……。
私は一筋の涙を流すと、意識を失った。
次の更新予定
最強総長は姫を眠らせない。⚘ 空野瑠理子 @sorano_ruriko
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