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「ひゃー、鳥肌半端ない! すげぇかっこよかったっすわ笑」

「これにてミスターコンアピールタイムは終了です!」

「1番だと思った人に丸をつけて運営本部に設置してある投票箱に投票して下さいねー」

 司会の男子がマイクで話す。


 そして私、あかりちゃん、美青みおちゃんは黙って投票し…、

 午後になった。


 野外ステージには参加者がずらりと並んでいる。


「えー、今からミスターコンの結果発表をしまーす!」

 司会の男子がマイクで明るく話す。


「おー!」

「ついにキター!」

 ステージ前が賑わう。


「もう先に一位言っちゃいますね!」

「一位は~」


 私、あかりちゃん、美青みおちゃんはドキドキしながらステージを見つめる。


「777票、黒沢宙くろさわそらくん!」

「ラッキーセブンキター! 票数も宇宙を超えた――――!!」

 司会の男子が勢いよく叫び、マイクからキィィンと声が響いた。


 777票!?!?


 拍手と祝福の言葉が飛び交う。

「キャー!」

「紫、かっけぇ!!」

「おめでとー!!」


 そらくん、凄すぎるよ…。

 あ、耀ようくん、そらくんの肩叩いて…。


「…総長、一位おめでと」

「…さすがだね」

「…雪乃ゆきのちゃんのこと眠らせたら許さないから」


「…あぁ、眠らせねぇよ」


「ギャー! 耀ようくんとそらくん、笑ったー!」

 女子達が発狂する。


 何を話していたのか分からないけど…。


 私は泣き笑いする。


 ふたりの笑顔が見れて良かった。



「あかり、ポップコーン、めっちゃ食べるじゃん」

 文化祭2日目。校舎前に設置された屋台付近で美青みおちゃんが言った。


「だって美味しいんだもん~」


雪乃ゆきの、私達も何か買って食べよっか」


「うん」


 美青みおちゃんはキョロキョロと屋台を見渡す。

「ん~、あっ、クレープは?」


「食べる」


「じゃ、あかり、私達クレープ買ってくるから少し待ってて」


「うん、いってら~」

 あかりちゃんが、ひらひらと手を振る。


 私と美青みおちゃんはクレープの屋台に向かう。


雪乃ゆきの、ブルーベリーあるよ」


「あ、ほんとだ」


 女子達がざわつく。

「見て! あれ星羽ほしばね高の男子達じゃない!?」


 え……星羽ほしばね高?


 私と美青みおちゃんは校門を見る。


 なんで……。

 あ、今日、一般公開日……。


 白髪と金髪の男子を筆頭にして男子達はあかりちゃんに近づいていく。

「ちょっと付き合ってもらおうか」

 金髪の男子が怖い表情で脅すとあかりちゃんはポップコーンを地面に落とす。

 白髪の男子は隣で楽しそうに笑う。


 あ、りゅうくん達に連れて行かれて…!


「あかりちゃん!」

「あかり!」

 私と美青みおちゃんは無我夢中で追いかけた。



「嫌っ! 放して!!」


 あかりちゃんの叫び声が体育館裏から聞こえる。


「もう少しの我慢だ」

「ほら、来た」


 体育館裏に着くと、

 りゅうくんがあかりちゃんを捕らえていた。

 後ろには白髪と金髪の男子達が並んでいる。


 美青みおちゃんはキッ! と睨む。

りゅう! 先に待ち伏せなんて悪趣味ね!!」


りゅうくん、あかりちゃんを今すぐ放して」


「姫のお願いでもそれは聞けねぇな」

「あかりだっけ? お前にいい事を教えてやる」


「いい事?」

 あかりちゃんが聞き返す。


「そこにいる美青みおはな」



そらが率いる暴走族鬼雪おにゆきの姫なんだよ」



 美青みおちゃんが両目を見開くと、


「え……」

 あかりちゃんは動揺しながら驚く。



「ちなみに耀ようしゅんも仲間だ」


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