secret sleep7⚘眠らせないって言ってよ。
1
今日も髪、ボサボサ……。
夏休みが終わり、
9月5日の朝。私は洗面台の鏡で自分の姿を確認していた。
鏡に映る制服姿の私。
まるで頭の中で茨に縛られた中2の私が目覚めようとして暴れて、ガラスが割れていくような痛みを感じる。
だけど頭痛だけで映像も声も流れなくて…。
私の見たくない気持ちがシンクロしてるのかも…。
私はシルバーのネックレスをぎゅっと掴む。
お願い、このまま眠ってて。
目覚めないで。
私から眠れない日々を奪わないで。
*
うぅ、眠い……。
その日の6限。私は教壇に置かれたクジの箱の前でボーっとしていた。
「
「席替え後、文化祭の出し物も決めるんだ。早く引きなさい」
教壇に立つ
そうだった、文化祭…!
私はクジの箱に手を突っ込んで最後のクジを引き、席に戻っていく。
「では開封して席移動!」
私はクジをピラッと開封する。
あ、廊下側の一番後ろの席だ…。
ほわほわのお花のオーラが私を優しく包み込む。
また窓側で嬉しい。
ガタッ。
私は椅子から立ち上がると鞄を右肩にかけ、移動する。
そして新しい席の机に鞄を置くと。
「
廊下側の一番前の席に立つ
「あ、うん」
「隣、
「はぁ!?」
え、
驚いていると、鞄を右肩にかけたあかりちゃんが私の前まで歩いて来る。
「あ、ゆきのん、後ろ!?」
「え、え、あかりちゃん、前!?」
「やったぁ~」
あかりちゃんが、はしゃぎながら喜ぶと私も微笑む。
「あれ、隣あかり?」
「!!」
あかりちゃんは両目を見開く。
「あかり、よろしく」
「う、うん、よろしく」
あかりちゃんは林檎のように顔を赤らめながら言う。
私の顔が、ぱあっと明るくなる。
やったぁ。
良かったね、あかりちゃん。
ドサッ。
誰かが隣の机に鞄を置いた。
私は振り向く。
「え」
「えってなんだよ」
!?!?!?!?
頭がパニックになる。
「お、
「前後逆転したね」
「ボサッと立ってねぇでお前も座れよ」
「あ、うん」
私も恐る恐る隣の席に座った。
その席から縦に4つ空けて、
こんな
今日からますます、眠れそうにない。
「全員、席移動したな?」
「では実行委員」
ヤンキー男女が前に出て来て教壇に上がると、
ヤンキー男子は教卓、ヤンキー女子は黒板の前に立った。
「今から出し物を決めたいと思いまーす」
「意見のある人、手上げて!」
ヤンキー男子が軽く言うと次々に手が上がり、ヤンキー女子は意見を黒板に白チョークで書いていく。
「多数決を取りまーす」
「お化け屋敷! はい、10人」
「男女逆転シンデレラ! はい、6人」
「眠り姫カフェ! はい、16人」
「よって1-Aの出し物は眠り姫カフェに決定~!」
ヤンキー男子が明るく言うと、ワアッと歓声が上がる。
眠り姫カフェかぁ、可愛い。
わくわくする。
「そんで今年はミスターコンテスト」
「略してミスターコンが開催されま~す」
「キャー! キター!」
女子達が嬉しそうに叫ぶ。
「あかりちゃん、ミスターコンって?」
私は後ろの席から話しかける。
「あ~、ゆきのん知らない?」
「ミスターコンはね、全男子生徒の中からイケメンナンバー1を決めるコンテストのことだよ~」
イケメンナンバー1!?!?
「この中から2名出さないといけなくて誰がいいっすか?」
「そんなの
ツインちゃんが言うと、
「
続けて級長がビシッとヤンキー男子に言う。
「だよねー!」
女子達は賛成する。
「そう言われてますが、お2人いいっすか~?」
「俺はいいよ。
「俺はパスで」
「えー!? なんでー!?」
女子の不満の声が上がった。
普通の総長は、
文化祭? ミスターコン?
そんな学校行事出る訳ねぇだろ。
つーか、学校なんて行ってられっかよ。
真夜中、バイクで暴走。
パラパラァ~。
だもんね。
総長の
学校行事一緒に出来ること自体が
それに総長って忙しいと思うし…。
だけど眠り姫カフェだけじゃなくて、
ミスターコンに出る
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