3
*
そして5月20日から23日まで中間テストが行われ……、
「テスト全員返したな」
5月28日の6限目。1年A組の教壇で
しぃぃん、と室内が静まり返る。
「25点以下は赤点となる」
「ではワーストを発表する」
ドキン、ドキン。
ついに最後の教科、保健体育のテストが……。
今までの教科はぜんぶ赤点から間逃れたけど、大丈夫…だよね?
「ワーストは
「え? 以下ってことは?」
男子の一人が尋ねると、
「セーフってことだよ!」
「キャー! さっすが
女子達の歓声が上がる。
「うおー、体育祭だー!」
男子達は雄叫びを上げた。
「チッ」
「
「他のみんなが名前呼ばれるの避ける為にわざとやったでしょ?」
後ろの席から、にこっと笑いながら
「は?」
「そんな訳ねぇだろ」
*
「あっつ~、午前中の体育祭リハ終わったね~」
翌日の昼前。ピンクグレーのジャージを着たあかりちゃんが言った。
私と
「あかり、100メートル走、ばっちりじゃん」
「
「うん、
「
「あー、あかりと同じで一人の種目が良かった。クジで決まったから仕方ないけどね」
「でも大丈夫、前に何度か練習したから」
「
「あ、うん」
「それで、あかり、明日告るの?」
「え、何いきなり!?」
「あかり、
「え!? バレバレ!?」
「うん」
「あー、うーん、告るのはまだいいかな」
「そういう
「いや、違うから」
「え!? 違うの!?」
「みんな噂してるよ。
「あはは…私、偽者の姫だからさ」
「え? 偽者の姫?」
あかりちゃんが尋ねる。
「そんなことないよ」
「
私がそう言うと
「え、え、どういうこと?」
あかりちゃんはパニックになる。
「あ、姫っていうのは美人って意味だよ」
私が説明すると、
「とにかく今のナシね」
「え、偽者の美人ってこと?」
「なら、間違いだよ。
「あはは、あかり、ありがと」
「てか、
「え!?」
「バレバレだから」
私は
だけど、
記憶もまだぜんぶ思い出してない。
そんな状態で告白なんて出来る訳ない。
私は眉を下げて笑う。
「私はそもそも世界が違うから無理だよ」
あ、
今の
*
「ご、午後も体育祭のリハだね」
昼休み。空き部屋でジャージ姿の私は右膝を立てて隣に座る
「あぁ」
き、気まずい…。
さっきの聞かれちゃったかもしれないし……。
「本番、髪結ぶのか?」
「あ、うん、暑いし結ぶかも」
「やめとけ」
「あ、うん…」
ポニーテールは似合わないしね…。
「
私は驚く。
予想外の言葉にドキドキが止まらない。
「わ、分かった」
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