5
私と
私が義理の妹なことも知ってるんだ…。
「
「
「ふざけんなよ!」
「俺は両方助ける」
ゴロゴロ……。
雷が鳴り始め、雨が降り始めた。
「なら助けてみろよ」
え……。
「チッ」
地面に放り投げ、
「きゃっ!」
空いた右腕でリュックを跳ね返す。
バク転して
「
私は叫ぶ。
ズザザァッ。
「俺から一人解放させるなんて」
「
「このままだと俺の大事な姫が風邪をひくから今日のところは一旦引くとしよう」
地面に置いてあるリュックから白のパーカーを取り出し、私の両肩にかけ、フードを被せる。
「え、あの…」
「コラ、お前ら何をやっている!」
男性の叫び声が遠くから聞こえた。
「チッ、
「
「俺のクラス、1-Bのうぜぇ担任だ」
「え……」
「心配すんな」
「
「それは次に会う時に返してくれればいい」
「またな、姫」
その時、耳元で囁く。
「…まさか姫が一部記憶喪失だとはな」
「…だが記憶があろうとなかろうと変わらない」
「…期限は今年のクリスマスイヴだと忘れるな」
「っ…」
終わったんだ…。
良かった……。
「大丈夫か?」
「
私と
分かってる。
私より先に心配されるのは当たり前だって。
分かってるのに。
胸が凄く痛い。
「
「
「ゆきのん!」
「
「あ、うん、大丈夫」
「…
「…誰に?」
「…俺に」
「…なんてね」
「
「うん、
「
「うん、大丈夫。ちょっと頭痛がしただけだから」
私はそう言うと、首のネックレスを外に出して
「このネックレス、
「中2の夏に両親に黙って2人で夏祭りに出掛けた時に
「…違う。それはあいつのだ」
そんな……。
「なんで…嘘付いたの?」
「そう言わないとお前外すから」
「意味分かんない」
「なんで外しちゃいけないの?」
「あいつの姫の証だからだ」
姫の証……?
ズキンッ。
「ッ…また頭が……」
「
「記憶……?」
「
「そう…なの?」
「あぁ。俺からぜんぶ話すことも出来るけどどうする?」
聞きたい。
だけど、ぜんぶ聞いてしまったら
「いい…」
「自力で思い出すから」
「分かった」
「乗れ」
「え、でも」
「そんな状態で歩けねぇだろ。早く」
私は
すると徐々に雨が止み、晴れると、私は崖の下の湖を見つけた。
あ…湖に空が映って……。
「
「…あ」
湖に映った空に浮かぶ天使の翼の雲が美しく輝く。
私は見惚れる。
「綺麗…」
嬉しい、嬉しい。
涙があふれてきちゃった…。
「見たのあいつらには内緒な」
「うん、内緒」
*
そして無事にゴールに辿り着いた後、
帰りのバスが動く中、
…みんな寝てんな。
“ …
“…俺に”
“ またな、姫 ”
“ …記憶があろうとなかろうと変わらない ”
“…期限は今年のクリスマスイヴだと忘れるな ”
「…………」
「…やべぇ」
「…気持ち爆発するとこだったわ」
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