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そら、ポスト見つかったぞ」

 しゅんがVEのポストを指差しながら言った。


「嫌な予感がする」

 そらは狂ったコンパスを見ながら言うと走り出す。


「は!? おい、そら!」

 しゅんが叫ぶと、


そらの勘は外れたことないからね」

「行くよ、しゅん


 耀ようも走り出すと、


「ったく、あいよ」

 しゅんそらを追いかけていく。


「な、なんで道塞ぐの!?」

「ど、退いて」

 あかりがTシャツにジーパンを着た白髪の男の子と同じ格好の金髪の男の子に頼むと、


「意地悪したくないんだけど、ごめんね」

 白髪の男の子が謝り、


りゅうの頼みなんだ、諦めな」

 金髪の男の子がそう続けて言う。


「あかり!」

 そらが駆けながら叫ぶ。


そら!」

「みんなも!」


「やーっと来たか」

「待ちくたびれたよ」

 金髪の男の子と白髪の男の子が続けて言った。



「…白髪は氷浦ひうらのナンバー2、七瀬翼ななせよく

「…金髪は氷浦ひうらのナンバー3、狼谷梓かみやあずさか」



 そらは、ぽつり呟くと、

「おい、雪乃ゆきの美青みおはどうした?」

 あかりに尋ねる。


「ゆきのんは先に確認してくるって行っちゃって」

「戻って来ないから美青みおと、どうしようか相談してたら」

「看板の裏に立ち入り禁止って書いてあるのが分かって」

美青みおはゆきのんを助けに行って」

「私も行こうとしたら、この白髪の子が茂みから突然現れて道塞いだの」


耀ようしゅん、あかりを頼む」


「分かった」


「おう、任せろ」


 あずさは不機嫌な顔をする。

「は? クソが」


「イライラするなぁ」

「ここを一人で通れると思ってんの?」

 よくが尋ねると、


 そらは耳元で囁く。

「…あぁ。俺は鬼雪おにゆきの総長だからな」


 よくがゾクッした隙にそらあずさの方に突き飛ばす。

 あずさと共によくは地面に倒れ、

 そらは真っ直ぐ駆けていく。



 …どうしよう。


 私はどうなったって構わないけど、

 美青みおちゃんだけは絶対に助けなきゃ。

 だって美青みおちゃんは私の大切な友達で、

 鬼雪おにゆきの大切な姫だから。


りゅうくん、お願い。美青みおちゃんを解放して」


「それは無理だ」


「私はここにいるから、だから……!」


雪乃ゆきの!」

美青みお!」

 そらくんが駆けて来た。


 美青みおちゃんが笑う。

そら…」


 私の両目がじわりと滲む。


 あ……そらくん、来てくれた……。


「遅せぇよ、黒沢くろさわ


 そらくんは鬼の形相で睨む。

「今すぐ、ふたりを離せ」


「その条件は飲めねぇが」

「俺の姫の必死なお願いを聞いて、一人だけなら解放してやる」


 え……。



鬼雪おにゆき姫か、義理の妹かどちらを助けるか選べ」


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