3
*
「えー、最後にこの問題を一人に解いてもらう」
昼休みは過ぎ、6限。クールな国語の先生が黒板の前で言った。
「なお、この問題が解けるまで全員帰れない」
「ええー!? この授業終わったら
「早く遊びたーい」
周りの女子と男子達がコソコソと話す。
昼休みは不覚にもあのまま少しだけ寝ちゃった…。
眠れない私がだよ?
信じられない。
しかも
ドキドキしたり、心地よかったり、
恋って忙しい……。
てか、解けるまで全員帰れないって…。
問題、はなのしろに眠るお姫様、なんだけど…。
私の苗字が答えなんて恥ずかしい…。
私はたぶん当たらないと思うけど、
誰が当たるんだろう…。
「
「…………」
あ、
「また寝たフリか」
「昨日の剣道の授業でも寝てたそうだな」
「登校してくるようになって少しはマシになったかと思ったが」
「全く成長してないな」
「せっかく中学レベルから小学レベルの漢字にしてやったのに」
「もういい。この問題は…」
え、先生と目が合って……。
「
ええ!?
「ちょ、自分の苗字をわざわざ黒板に書かせるって」
「やばー、
周りの声が痛い。
私は席を立ち、黒板の前まで歩いて行く。
「お前ら良かったな」
「これで授業終わって
国語の先生がにっこり笑う。
白のチョークを持った手が震える…。
自分の苗字を書くだけ。
書くだけなのに。
国語の先生が耳元に唇を近づけてくる。
「…
「…おかげで関係ない俺までとばっちり受けてさ」
「…お前みたいなボサ頭は家でずっと
ガタッ。
そして私のところまで歩いてくる。
「貸せ」
「あっ」
カッカッ、と
はなのしろに眠るお姫様
花 城
国語の先生を鬼のような顔で睨む。
「先生、これでいいっすか?」
国語の先生の身が縮こまる。
「あ、あぁ。いいよ(泣)」
自分の苗字を書いてもらっただけなのに嬉しくて仕方ないよ。
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