secret sleep3⚘意識しすぎて、近づけない。
1
あぁ、眠いなぁ。
翌日の朝。駅から出た私は歩道を一人で歩いていた。
空は晴れ、周りには木々やビルが建ち並んでいる。
“私、
昨日、そう自覚したら、
余計に眠れなくなっちゃった。
シャー。
車輪が回り、軽やかに自転車を漕ぐ男子高校生が前から近づいてくる。
あ、やば、体がふらついて…。
後ろから誰かが駆けてくる足音が聞こえた。
転がった空き缶を飛び越え、
私を右腕で後ろから抱き、一緒に自転車を避ける。
男子高校生は悪びれる様子もなく、スピードを落とさないまま自転車で走り去っていく。
「はー、危ねぇ」
綺麗な紫髪。
あ、今日はシャツの上にパーカー羽織って…。
私達は見つめ合う。
昼間はイケメン高校生。
夜は総長の
恋をしました。
*
でも、そのせいで。
ど、どうしよう…。
ドキドキが止まらない……。
見つめ合った後、
「た、助けてくれて、あ、あ、あ、ありがとう」
言葉を噛みながらお礼を言い、
「ねぇ、見て見て。あの紫髪の男の子かっこよくない!?」
と歩く度に周りの女子達が騒ぐ中、
だけど、
隣を歩けたのが嬉しくて嬉しくてたまらない。
おまけに、
眩しすぎてもう直視出来ない。
1年A組に着いた私は窓側の一番後ろの席で机に伏せ寝する。
「はぁ…」
触れられた体が猛烈に熱くて、溶けてしまいそうだ。
「
クラスの男子の声が聞こえてきた。
「は?
「あれ? お前知らねぇの?」
「
「
えぇ……そんな噂が…?
「ちなみに花役って呼んでる奴もいるぜ」
「花にじょうろで水かけて世話する役目って意味な」
苗字に花ついてるけど、
花にじょうろ……。
う、私、ボサ花だからなぁ……。
「はー、役でやってんじゃねぇわ」
「本当の|義理の妹だって言ってんだろ」
面倒臭そうな
私と一緒に登校したせいで迷惑かけちゃった…。
「え!? あの紫髪が
突然、廊下から女子の声が聞こえてきた。
私は気になって顔を上げ、廊下を見る。
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