secret sleep3⚘意識しすぎて、近づけない。

1


 あぁ、眠いなぁ。


 翌日の朝。駅から出た私は歩道を一人で歩いていた。


 空は晴れ、周りには木々やビルが建ち並んでいる。


 “私、そらくんのこと、一人の男の子として好き”


 昨日、そう自覚したら、

 余計に眠れなくなっちゃった。


 シャー。

 車輪が回り、軽やかに自転車を漕ぐ男子高校生が前から近づいてくる。


 あ、やば、体がふらついて…。


 後ろから誰かが駆けてくる足音が聞こえた。


 転がった空き缶を飛び越え、

 私を右腕で後ろから抱き、一緒に自転車を避ける。


 男子高校生は悪びれる様子もなく、スピードを落とさないまま自転車で走り去っていく。


「はー、危ねぇ」


 綺麗な紫髪。


 あ、今日はシャツの上にパーカー羽織って…。


 私達は見つめ合う。


 昼間はイケメン高校生。


 夜は総長のそらくんに

 恋をしました。




 でも、そのせいで。


 ど、どうしよう…。

 ドキドキが止まらない……。


 見つめ合った後、


「た、助けてくれて、あ、あ、あ、ありがとう」


 言葉を噛みながらお礼を言い、


「ねぇ、見て見て。あの紫髪の男の子かっこよくない!?」


 と歩く度に周りの女子達が騒ぐ中、そらくんと教室まで一緒に歩いて来た。


 そらくんといると目立ちたくないのに自然と目立ってしまう。


 だけど、

 そらくんと一緒に登校出来たことが、

 隣を歩けたのが嬉しくて嬉しくてたまらない。


 おまけに、そらくんが、めちゃくちゃ輝いて見えて、

 眩しすぎてもう直視出来ない。


 1年A組に着いた私は窓側の一番後ろの席で机に伏せ寝する。


「はぁ…」


 触れられた体が猛烈に熱くて、溶けてしまいそうだ。


そら、“義妹ぎまい役”、大変だな」

 クラスの男子の声が聞こえてきた。


「は? 義妹ぎまい役?」


「あれ? お前知らねぇの?」

花城はなしろさんの世話をする役目って意味で」

義妹ぎまい役になったって色んなところで噂になってっけど」


 えぇ……そんな噂が…?


「ちなみに花役って呼んでる奴もいるぜ」

「花にじょうろで水かけて世話する役目って意味な」


 苗字に花ついてるけど、

 花にじょうろ……。

 そらくんにお世話されたら綺麗な花が咲くかもしれないけど…、

 う、私、ボサ花だからなぁ……。


「はー、役でやってんじゃねぇわ」

「本当の|義理の妹だって言ってんだろ」


 面倒臭そうなそらくんの声。


 私と一緒に登校したせいで迷惑かけちゃった…。


「え!? あの紫髪がそらくん!?」

 突然、廊下から女子の声が聞こえてきた。


 私は気になって顔を上げ、廊下を見る。

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