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びっくりしてネックレスを手放す。
え、もしかして先生!?
「何やってんの?」
「な、なんで…立ち入り禁止なのに…」
「一人で歩いて行くのが見えて気になって」
お、起きてたの!?
「まさかこんな所に秘密基地作ってたなんてびっくりだわ」
秘密基地!?!?
「基地なんて、そんなたいそうな…」
「偶然この部屋の鍵が壊れてて入れて」
「こっそり使わせてもらってたりするだけで…」
「不法侵入」
う……。
「最近、寝れてねぇの?」
「え?」
「両目の下にクマ出来てる」
クマ…恥ずかしい……。
「今朝も眠れなくてジュース買いに行ったり」
「小学生の頃だっけ?」
「離婚して再婚した今は寝られないって言ってただろ」
「だから別れた今はどうなんかなって」
私は右膝に顔を埋める。
「…ますます眠れなくなった」
「
「俺も眠れてねぇよ」
「特に今日とか」
あ……。
「ごめんね」
「私と会わなかったら、もっと早くマンションに帰れたよね……」
「はー、違げぇわ」
え、理由、違う!?
「教室だと女子達がギャーギャーうぜぇし」
「今日から昼休み、俺もここで休むわ」
ええ!?
「じゃあ、ここ使って。私違う場所に…」
「違う場所に行ったら、お前の昔の秘密バラす」
「わ、分かった…行かない」
なっ、なっ…。
「
「何?」
「ど、どう? 眠れそう?」
「どうかな。お前は?」
こんなの、眠れる訳ない。
「私、義理の妹…なんだよね?」
「あぁ。プラス秘密の関係」
空き教室のカーテンが、まるで翼のように、ふわっと上がったかのように見えた。
昼間はイケメン高校生、
夜は総長で。
血の繋がりもなくて、
私はただの地味な女の子で。
それは義理の兄としてなのか、
恋なのかさえ、よく分からなかったのに。
世界が違いすぎるって、分かってるのに。
ぎゅっと右手でネックレスを握り締める。
好きがあふれて、もう、無理だ。
私、
一人の男の子として好き。
だから。
「お願い…眠らせないで」
「もちろん、眠らせねぇよ」
零れ落ちていく涙がキラキラと光る。
今日、
もう、やめられそうにない。
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