2
5代目総長
黒のバイクに乗った
え……
なんで――――。
「ひええっ、すいませんでしたぁ!!」
酔っ払いのおじさんはパッと腕を離すと慌てて逃げていく。
これは、夢?
「
「あぁ。暴走族
「どうしてここに?」
「マンション、高校の近くだって…」
「あぁ、詳しく言ってなかったな」
「マンションの近くに駅があって、高校まで一区間で行けるんだよ」
「それだったら歩きとか自転車とかの方が早く着くんじゃ…」
「それが電車のが早いんだわ」
「だから昨日、駅に着いて階段上がろうとしたらお前が見えた」
そうだったんだ…。
「今日は?」
「1時間くらいかけてここまで来て仲間とこの地域のトップ3の族潰してきたら偶然お前を見かけて」
「ちなみに俺達はまだ全国トップ2だけどな」
「一人で何やってんだよ」
「眠れなくてジュースを買いに…」
「それだけ?」
「少しだけ右の頬腫れてる」
私の両目が潤む。
なんで、気づいちゃうの?
「お袋にやられたのか?」
「…助けてくれてありがとう。私、帰るね」
「どこに?」
「……どこだろ」
懐かしい香りがして、涙が止まらなかった。
それからしばらく泣いて落ち着くと。
ガコン、ガコンッ。
「
「え」
「今だけでも結んだら?」
「でもゴムが…」
「輪ゴムでいい?」
「あ、うん」
「はい」
「ありがとう」
私は輪ゴムを受け取ると髪を後ろでポニーテールにする。
「…昔もヤバかったけどマジかよ。美女か」
「え?」
「なんでもねぇ」
「ん、
「あ、ありがとう」
プシュッ。
私達は自動販売機の前で炭酸入りグレープジュースを飲む。
すると物凄い爆音が響いた。
え、何!?
しゅるっ。
「やっぱ、こっちのがいい」
だよね、ポニーテールはやっぱり似合わないよね…。
黒いバイクの眩しい光が近づいてくる。
あ、同じクラスの…。
「さすが総長、やるね」
黒髪で右耳に玉のピアス。
「一人だけずりぃ。俺達出し抜いて女と酒かよ」
銀髪で左耳に輪のピアス。
「
金髪でふわロングの毛先がピンク。
前髪パッツンに触覚を垂らし、
「酒じゃねぇわ」
「えー、どーだかな?」
「お、お、お、おはよう」
私が挨拶を返すと、
「あははっ、めっちゃキョドってる」
笑顔キラキラしてる……。
「あ、そうそう、
「昨日の赤ヤンキー、俺らがシメといたからさ、もう大丈夫だよ」
「え、シメ…」
「おま…余計なこと言うんじゃねぇよ」
「あ、あの、皆さんも暴走族
「そうだよ。
「
「ナンバー2が
「姫役…とは?」
私が尋ねると、
「暴走族にはそれぞれ総長が見初めた『姫』と呼ばれる女の子が1人だけいて」
「姫役になる子は総長の彼女なことが多いけど」
「
「そ、そうなんだ…」
付き合ってる訳じゃないんだ…ホッ…。
ホッ?
なんで私、ホッとして…?
「じゃあ、そろそろ帰るわ」
「また高校でな」
「うん」
また、
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