secret sleep2⚘眠らせないで。
1
「もう朝の2時か…」
眠れない私は、ベットから起き上がった。
朝の5時まで残り3時間。
3時間は寝ておきたいけど無理そう……。
昨日の朝までは
とにかく会いたくて、
暗闇のベットの上で一人、両手で顔を隠して泣くだけだった。
でも、5月になった今日は。
私は自分の唇に人差し指を当てた
ベットの上で自分の顔を両手で隠す。
顔が熱い。
今日から高校で毎日
嬉しくて眠れなかった。
*
だけど、幸せな気持ちはすぐに掻き消される。
「
パチーン!
シルバーのネックレスを首につけてTシャツの中に入れ、部屋を出て居間に行くと、お母さんが右の頬を平手打ちした。
私はこんなお母さんと15階建てのマンションの6階の部屋に住んでる。
私の部屋はシンプルで可愛く、
学習机とか、必要最低限の物しか置いてないけど、
お母さんの部屋は鞄とか服とか靴でごちゃごちゃしていて、
居間も片付けてなくて汚い。
おまけに……う、酒臭い。
私は部屋に充満する酒臭い匂いに顔をしかめる。
缶ビールや瓶が転がっていて、キッチンの流しも洗っていない食器で埋まってる……また片付けなきゃ…。
前は綺麗好きなお母さんだった。
でもバツ2になったお母さんは変わってしまった。
私は熱くなった右の頬に触れる。
頬がじんじんする。
心も痛い。
「別にいいでしょ」
「ちょっと自販機まで行ってジュース買ってくるだけだから」
「何? 1円も稼いでないあんたが私に口答え?」
「やっぱり、あのクズ男の子ね」
「わざわざ遠い高校選ぶわ、高校生になったらなったでそんな頭しだして」
「何? バツ2の私に対する嫌がらせ?」
「看護師として日々働いて、たっかい授業料払ってやってんのに!」
「この
違う。
遠い高校を選んだのは
髪は目立ちたくないからなのに。
でも、言ったところで、信じてなんてもらえない。
私の両目が潤む。
「っ…」
私はお母さんに背を向けて、玄関まで走る。
そしてスニーカーを履き、家を出た。
*
そして、自動販売機の前まで駆け、一人で泣く。
自動販売機の光が眩しい。
あ、グレープジュース……。
今の私には
「お嬢ちゃん、今一人?」
酔っ払いのおじさんが話しかけてきた。
え、え、何?
こ、怖い……。
私は無視をする。
「泣いてるの?」
「何か嫌なことでもあったのかい?」
「おじさんが
ガシッ。
酔っ払いのおじさんに腕を掴まれた。
力強い腕。
振りほどけない。
あぁ、もうどうでもいいや。
何処へでも連れて行って。
ブォオン
ブォオン
ブォオオオンッ!
走ってくるバイクの眩しい光が私達の全身を照らす。
「その汚ねぇ手、今すぐ放せや」
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