Ice lolly10⋈最後まで、して。
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会えたから…もういい。
私も諦めないよ。
…ねぇ、最後まで、して。
*
7月15日の夜。私は部屋で勉強していた。
今日は月曜日だけど海の日で高校はお休み。
昨日のこともあって
習慣って怖い……。
ヴーヴー。
私のスマホからバイブ音が鳴り響く。
え、
私は勉強する手を一旦止めて、応答のボタンをタップし、右耳にスマホを当てる。
「も、もしもし?」
『ありすちゃん、突然電話してごめんね』
『今、一人?』
耳元に響く色気のある声。
「あ、うん。
『そっか、良かった』
「どうしたの?」
『あのさ、今から
え、高校で夜遊び!?
「あ、えっと……」
『ありすちゃんが
『でも俺、ありすちゃんのこと諦めたくないんだよね』
『きっと
『だからありすちゃん、今日だけでいいから来て欲しい』
頬が熱くなって泣きそうになり、
スマホを右耳に当てたまま、ぎゅうっと握り締める。
「私も…諦めたくない」
『ならおいでよ』
「うん、
『いいよ』
『じゃあ高校の校門で待ってるね』
『気をつけて来なよ』
その言葉を最後に通話が切れた。
私は椅子から立ち上がるとだっさいTシャツに短パンから裾にリボンがついたオフホワイトのゆるTシャツとスカートに着替え、
黒のウィッグを被り、部屋を出た。
*
45分後。私は
「ありすちゃん、こっち」
袋を持った
「来るの遅くなってごめんね、電車が遅れちゃって…」
「あー、事故か何か?」
「俺はさっき裏にバイク停めて歩いて来たばっかだから大丈夫だよ」
片耳ピアスに色気もなんだか増してる?
「何? じっと見て」
「
「よく分かったね。3連休最終日だし行って来たんだ」
「ありすちゃんは3連休何してたの?」
して教会で仲直りしたり……なんて絶対に言えない。
「……色々あって忘れちゃった」
「へぇ、濃い3連休だったんだね」
「
「まだみたい」
まだ来てないんだ…。
「そっか…
「白いサワー。こっそり先に飲んじゃおっか」
「え…でも…」
私は渋々受け取る。
「あ、もしかして酒だめだった?」
「分かんない」
「前に
「そっか、アルコールまだなんて勿体無いな。
「え、
「うん。でも無理しなくて大丈夫だよ」
よし…少しだけなら…。
私も缶の蓋を開け、一口飲んでみる。
「お、どう?」
私は答えず、半分くらいまで飲む。
「ありすちゃん、そんな飲んで大丈夫?」
「うん、美味しい。ワルになったみたい」
「ワルって。それは良かった」
「あ、ライン」
「なんだ、もうみんな中庭にいるってさ」
「こっちに抜け穴あるから早く行こう」
「うん」
抜け穴を抜け、先生にバレないように校舎の中を静かに通っていくと、やがて、中庭の奥の木陰に出た。
「バレずに来れたね」
「うん」
私はキョロキョロと辺りを見渡す。
おかしいな…。
「あの、
あれ? ふわぁっとして……。
「ありすちゃん!」
前に倒れると
カランッ。
地面に蓋の開いた白いサワーの缶チューハイが2つ転がる。
「ごめんなさ…白いサワーが…」
「ううん、こっちこそ“酔わせて”ごめんね?」
酔わ…せる?
「…あんまり女の子に手荒なことしたくないんだ」
「…だから俺の言うこと聞くって約束してくれる?」
私がコクンッと頷くと、そのまま抱えて歩いて行き、木の前で下ろす。
そして背中をつけた状態で寝かせ、私の両手を上げ、木にロープでくくりつけた。
「
「“
私の両目から光が消える。
「…あ」
「やっと来た。遅せぇよ」
ハニーブラウンの髪の
その後ろを肩までのピンクブラウンの髪の
え、
「…
「何って“夜遊び”だよ」
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