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「…あぁ、ちゃんと別れ話して、それで送り届けに来た」
「別れ話だ? てめぇやっぱ
「…そう、俺がこんな女本気になる訳ないだろ」
――――グイッ!
「
「
私が止めると
「…文句があるならいつでも隣に来い。相手してやるよ」
「は? 隣?」
「…あぁ。写メ見せてもらって部屋が隣だって気づいた時、俺も信じられなかったわ」
「…だけど本当に隣だったんだな」
「高校でありすがてめぇに
「まさか部屋まで隣…クソがぁっ!」
「ありすをここまで送り届けてくれたことだけは感謝してやる」
「とっとと失せろ。2度とありすには近づくな!!」
「…誰が近づくかよ、こんな女。こっちから願い下げだわ」
「…じゃあな、ありす」
――――グィッ。
私が中に入ると、ぱたんと扉を閉める。
「あの、
「もう帰って来ないんじゃねぇかって思った」
「良かった」
私の両瞼に光が
「…帰らないつもりだった」
「でも、帰ってきちゃった…」
「全部思い出したから」
「…
「お前、あの時、意識失ってたんじゃねぇのか?」
「…意識はあった。だから全部思い出せたの」
「
「お前のせいじゃねぇ。俺が勝手に決めたことだ」
私は首を横に振る。
「ううん、私のせいだよ。だって総長になった理由、私を守る為だもん」
「あの時、
「
「
だめ、気持ちが止められない。
「ううん、それだけじゃない」
「お母さんとお父さんが出て行くこともなかった」
「
「私さえいなければ
私は感情を爆発させながら泣き叫ぶ。
「ありす!」
「ふざけんな! ふさげんなよ!!」
「お前がいて幸せじゃねぇって思った日は一日もねぇよ」
「俺はお前さえいればいい」
「お前が傍にいるだけで幸せだ」
「うわああああぁぁぁぁ……」
私が号泣すると
「――――落ち着いたか?」
「うん…」
「この際だからバラすけど、カラオケ店でバイトするより総長の時間のが長ぇし」
「え」
私は驚きの声を上げる。
「集会とかバイクでカッ飛ばしたり、敵対する暴走族とやり合ったりとかな」
「だから私の部屋で間違えて寝たり、体調悪かったりしたの?」
「あぁ、あん時は、ほぼ徹夜だったな」
そうだったんだ……バイト疲れかと思ってた……。
あれ?
いつもなら自分からは離さないのに……。
「お腹空いただろ、何が食いたい?」
「いい、今日はもう寝る」
「
「ん、おやすみ」
私は部屋に向かって歩いて行く。
ふと
*
7月13日の早朝。私は部屋のベットの上にいた。
今日、土曜日で良かった…。
空腹でちょっとだけ気持ち悪い……。
…色々なことがありすぎて、あんまり眠れなかったな。
ベランダにもさすがに行けなかった…。
顔でも洗ってこようかな。
私はベットから起き上がって降り、部屋の扉を開け、洗面台まで歩いて行く。
シャワーの音?
いつシャワー浴びてるんだろってずっと疑問だったけど、そっか。
総長は夜中に活動するから、私が寝てる時に浴びてたんだ……。
あれ?
スプレーがたくさん置いてある…。
私はスプレーを一本手に取って見る。
え、ゴールドの髪染めスプレー?
きゅっ。
シャワーの蛇口をひねる音にびくつき、スプレーが右手から滑り落ちる。
――――カランッ。
あ、スプレーが…。
シャワーの音が止まった。
ガラッとお風呂場の扉が開く。
タオルを首に巻いた少し筋肉質な上半身裸でトランクスを穿いた
私は両目を見開く。
「
「あー、バレる時は
「バレるって…」
「まさか
「は?」
「私に気を遣って染めるのやめて金髪にしててくれてたんだよね?」
「そんなことしなくても言ってくれれば良かったのに」
私は
ねぇ、
私、ちゃんと笑えてる?
「とにかくTシャツ着て」
私が
「いつも家では長袖Tシャツだね…熱くないの?」
私は
「お前が選んでくれた奴だからこれがいい」
予想外の答えに私は動揺する。
「…あ、髪、早く乾かさないと風邪ひいちゃうよ」
「夏だし放っときゃすぐ乾くだろ」
「だめだよ」
「あ、私がドライヤーで…」
私はそう言ってドライヤーを取ろうとすると
「乾かさなくていい」
「なんで?」
「妹なんだからもっと頼ってくれても」
「妹じゃない」
え……?
「俺達は本当の兄妹じゃねぇ」
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