2
*
プシュー。
…あ、
再び電車が動き出し、私は俯く。
もういいや。
帰っても
このまま、いなくなろう。
「電車の外見てみて」
他校のポニテの女子高校生が話しかけると、
隣に座るショートの女子高校生が驚く。
「え、バイク!?」
「しかも特攻服着てる!」
「何々? なんかの撮影!?」
「電車と追いかけっこしてる!」
「白髪の男の子、かっこいい!」
ポニテの女子高校生が目を輝かせながら言う。
え、白髪の男の子?
私は俯いた顔を上げて窓から外を見る。
え、
やばい、また涙が
嬉しいなんて、思っちゃだめだよ。
だめなのに――――。
とにかく、このまま終点まで行こう。
そしたら諦めてくれるよね?
*
しばらくして、私は終点の
自動販売機近くの椅子に鞄を置いて座る。
途中で
私は鞄からスマホを取り出す。
わ、
『ありす、帰って来い』
スマホの画面に表示された最後のラインを読んで胸がきゅっと痛む。
帰れる訳ないじゃん…。
私はスマホの電源を切って鞄の中に入れチャックを閉めると俯き、ぎゅっと両目を閉じる。
これから一人でどうしよう。
「…
え……?
私は両目を開け、顔を上げて隣を見る。
白の特攻服姿の
「
「…
「別に付き合ってくれなくていい」
私はそう言うと鞄を右肩にかけ、
椅子から立ち上がり、
「…
「放して」
「だいっっきらいって言ったでしょ」
「…だったら振りほどいてみろよ」
「っ…」
「…俺から放す気ないから」
私の右目から一筋の涙が零れた。
「…ずるい」
そして、ぽか、と胸を叩いた。
「大嫌い」
私は胸をぽかぽか叩き続ける。
「大嫌い、大嫌い、大嫌い」
「
「でも一番大嫌いなのは自分」
「
「私を守る為だったの」
「…だから
「っ…」
「…それは出来ない」
「…あいつも
「だったら、
私は拳を振り上げると、
「…俺が出来るのは
「…お前を守ることだけだよ」
右肩から鞄が地面にずり落ちた。
大粒の涙が溢れて溢れて止まらない。
「…
「私も…離れたくない」
「だけど
「…別れたことにすればいい」
「え?」
「…この後、バイクでお前を部屋まで送り届けて別れたこと、俺の部屋が隣なことをあいつにあえて伝える」
「…でもベランダのことは秘密のままな」
「上手く行くかな…」
「…上手く行かせるしかない」
「なら」
私は決意の目で
「私、
「守ってみせるから」
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