5
「え、ありすちゃん、総長の妹!?」
「嘘だろ、総長に妹が!?」
下っ端達が騒ぎ出す。
「なんで…バイクに乗ってるの?」
「そんな服着てるの?」
「総長って何……?」
「ありす、ずっと黙ってて悪かった」
「俺は」
なんで謝るの?
「あ、分かった」
「総長のコスプレしてるだけだよね?」
「そうなんでしょ?」
「ありす」
なんでそんな真面目な顔で名前呼ぶの?
「それか、こんなの夢、だよね?」
だって
「夢じゃねぇよ」
「俺は暴走族
どうして……?
こんなの、知りたくなかった。
涙が
ねぇ、
嘘だって言ってよ。
ブォオン
ブォオン
ブォオオオンッ!
バイクが3台走ってきた。
「やっとおでましか」
「
え?
私は恐る恐る後ろを見る。
綺麗な白髪。
両耳にはピアスをつけ、
有栖と背中に書かれた白の特攻服を着て、
月のマークに有栖の文字がついた指輪を左手の中指に嵌めている。
「
え……。
「なるほどね、そういうことだったのか」
「みんなも暴走族だったの…?」
「そうだよ。今まで隠しててごめんね」
「俺は暴走族
「そして俺が暴走族
2人が暴走族だったのもびっくりしたけど、
「ありす、驚いたわ」
「まさか金髪で
「っ…」
私は言葉に詰まる。
「…これで分かっただろ、事実だって」
そんな……。
「
「…どういうことも何も」
「…ありすは俺の女だ」
初めて名前で呼ばれた……。
「ありすが何か抱えてるのは知ってたが、てめぇか!」
「ありすを
「…
「
「
私は震えた声で尋ねる。
「…最初は知らなかった」
「…けど
「…写メを見せてもらった時、
「…本気だし、
「…でも
「ありすに本気だ!?」
「
「
「もういい!」
私は叫ぶと
「…
「ふたりとも、だいっっきらい!!!!!」
私は涙でぐちゃぐちゃになった顔で叫ぶ。
――――ダッ!
私は右肩に鞄をかけ、一人で走って逃げていく。
*
「ありす!」
ガッ!
「
「…悪いけど、お前に付き合ってる時間は一秒もねぇよ」
「…後は頼む」
「なーんだ、タイマン張るより女取るなんて…だっさ」
「
「総長、しゃあーせん!」
「知らなかったんです」
「ありすちゃんが総長の妹だって。だから…」
「ありすちゃんだぁ!?」
――――ドカッ!
「総長、残りの奴ら全員倒すんで見逃して下さい」
「てめぇは1度ならずも3度も勝手な行動をした」
「そんなお前を許すことは出来ねぇ」
「ありすを傷つけたお前を俺が生かす訳ねぇだろ」
物凄い勢いで
余りにも残酷な光景に周りは唖然とすると、
「いいか」
「次、俺のありすに手出したら誰でもこうなることを心に深く刻んでおけ」
*
「はぁっ、はぁっ」
私は右肩に鞄をかけたまま裏道を走っていた。
「…
え、
「…話がある。止まれ」
「…
ふわっ。
私はウィッグを受け取って被った。
あ、駅だ。
私は無視して駅の階段を駆け下りていく。
「…
え、後ろから
あ、電車止まった。
早く電車に乗らなきゃ。
電車の扉が開き、学生やサラリーマン達が出てくる。
私は電車に乗る。
「…
プシュー。
その手を掴むことはなく、扉が閉まった。
電車が動き出す。
私は扉に両手を突く。
突いた両手が震える。
私は俯いて泣く。
未だに信じられないよ。
私は
それに……。
「…思い出しちゃった…ぜんぶ」
保健室で見ていた夢は
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