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あぁ、やっぱり、そうなんだ。
私の顔が今にも泣き出しそうな顔に変わる。
「2代目? 初代は…?」
「…
え……
「
「…敵の暴走族」
え、
「…
「…今は少年院から出て保護観察中だ」
「…俺が高2になる時に総長の座を渡された」
“…
“…俺が高2になる前までずっと一緒だった”
「高2の春から不登校になったのも…総長になったから?」
「…あぁ」
「私に白いサワー味のアイスキャンディーくれたのはなんで?」
「…お前の金髪に惹かれたから」
「…渡してからお前の名前が暴走族の名前と同じ“ありす”だって分かって、ますますお前に興味を持った」
「…けど引くよな。怖いよな。俺が総長なんて」
「っ…」
「…それでも俺はお前と青春したかった」
「…お前の隣に一秒でも長くいたかった」
「待って」
「行かないで、
私は仕切り板の穴から叫ぶ。
ガラッ、ピシャンッ。
私はその場で崩れ落ちる。
総長って小説の中だけかと思ってた。
実際にいたなんて。
しかもそれが
私は両手で顔を隠す。
二十六夜の月はもう見えない。
大粒の涙でゆるTシャツが濡れていく。
もう私達終わりなの?
このまま別れるしかないの?
ねぇ、
これからどうしていいか分からないよ――――。
*
7月12日の夕方。私は高校帰りに孤独に裏道を歩いていた。
教室に残ってずっと勉強してたけど、
結局、
秘密で付き合ってるのも許されないのに、
彼氏が暴走族の総長だって、もしも
私の顔がサァーッと真っ青になる。
帰りづらいな。
ちょっとだけ寄り道…でもいつもより遅いし
やっぱり、このまま駅まで歩いて電車に乗って帰ろう。
ブォオン
ブォオン
ブォオオオンッ!
走ってくるバイクの眩しい光が私の全身を照らす。
私はびっくりして足を止めると10台のバイクに囲まれた。
え、何!?
クリーム色の髪に甘い顔。
「ありすちゃん、やっと会えたね」
黒の特攻服を着た
「2日前は俺の下っ端の
「おかげでサツに連れて行かれて終わったよ」
「
私は恐る恐る問う。
「
「そうだよ。こいつらは俺の下っ端で」
「俺は暴走族
暴走族
そっか、だからみんな黒の特攻服の背中に黒雪って書かれてるんだ…。
「だからありすちゃんには悪いけど消えてもらうよ」
私はその場に倒れる。
起き上がると、
「あいつの女じゃなかったら俺のにして抱いてやったのに。ごめんね」
私の血の気が引いていく。
「あ……」
「た、たす…」
「たすけて、
私は涙を
「あーうぜえ! あいつの名前呼ぶんじゃねぇよ!!」
「は……? 金髪!?」
私は両手で髪を隠し、ぎゅっと両目を閉じる。
やだ。
やだやだやだ。
ブォオン
ブォオン
ブォオオオンッ!
バイクが2台走ってきた。
「総長!」
え、総長!?
「
総長の怒鳴り声が響く。
あれ?
この声どこかで……。
私は総長を見る。
さらっとした金髪に整った顔。
片耳にはピアスをつけ、
黒雪と背中に書かれた黒の特攻服を着て、
ペンダントヘッドに雪のマークが付き、黒雪と書かれたネックレスをつけている。
「
「ありす…」
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