3
*
「…
その日の深夜。
私は黒のウィッグを被り、裾にリボンがついたオフホワイトのゆるTシャツに短パンを穿いている。
仕切り板があって良かった。
冷静に話せそう。
「
「…今日は謝ってばっかだな」
「…なんで避けんの?」
「夜の保健室で
「その意識しすぎちゃって……」
「…それは見てて分かった」
「え……」
私の顔が、かぁぁっと熱くなる。
「…でもそれだけじゃないだろ?」
「…ウィッグ取ったの後悔してるんじゃないのか?」
「罪悪感は…ある。だけど後悔はしてないよ」
「…そう」
「…
「え?」
「…倒れる前からずっとそんな顔してる」
ずっと聞きたかった。
でも聞きたくなかった。
聞いてしまったら関係が終わってしまう気がして、
怖くて、とても怖くて。
だけど、
あぁ、もう、
聞くしかないんだ。
「捕まってた時」
「
「…何を?」
私はぎゅっと自分の右手を握り締めて拳を作り、仕切り板の穴から
「ねぇ、
「…違う、よね?」
「ただの噂とか…」
「…
「
「…
私の体がびくつく。
「…あー、時間切れか」
時間切れ?
「…ずっとバレなきゃいいって思ってたけど、そんなん無理だわな」
「…許してくんないよな」
「…そう、俺は」
サァッ。
優しい夏風が吹いた。
綺麗な白髪がなびく。
二十六夜の月の闇夜に指輪だけが美しく輝いた。
「暴走族
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