3
*
「…もう少し」
放課後。私は2年B組の教室で一人残って勉強していた。
「終わった…」
ふと机のスマホを見ると、
え!?
電話!?
マナーモードにしてるから気づかなかった!
私は電話に出て、右耳にスマホを当てる。
「も、もしもし?」
『ありす、今どこにいる?』
勉強してて良かった……。
「まだ高校」
『は? 高校?』
「うん、今、勉強終わったところ…」
ブォオン
ブォオン
ブォオオオンッ!
え?
なんの音?
「キャー! 校門にバイクが!!」
「不審者―!!」
窓の外から女の子達の叫び声が聞こえてきた。
え、不審者!?
「あっ、バイクから降りた!」
「走って校舎の中入って行った!?」
「イヤー! 先生捕まえてー!!」
女の子達のパニックな声が響き渡る。
私は座りながらオロオロし出す。
え、え、校舎に!?
『ありす、どうした?』
私は慌てて立ち上がると窓まで歩いて行き、外を見る。
え、校門にバイクが2台止まってる!?
「だ、大丈夫だから切る…」
『ありす、何遠慮してやがる!』
『俺達、兄妹だろ!?』
『本当のこと言えよ!』
『俺をもっと頼れ!!』
私の両目が潤む。
「バイクが…不審者が校舎に…どうしよう」
『どうしようじゃねぇ!』
『今すぐ走って逃げろ!!』
『うん。また後でかけ直すね』
私はそう言って電話を切った。
走って逃げるって言っても、
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
まだC組に
とにかくC組に…。
ガラッ。
廊下から扉を開ける音が聞こえた。
私の体がびくつく。
「
「チッ、C組にはいねぇみたいだな」
“…俺、不登校で有名だろ?”
“…だから俺のことよく思ってない連中がたくさんいて”
前に
男の子達、
「次はB組か」
どうしよう。
教室からはもう出られない。
とにかくカーテンに……。
私はカーテンの留め金を外して中に隠れる。
「B組も誰もいねぇか」
「いや、待て。カーテン」
私の顔が青ざめていく。
あ……、バレて……。
男の子達の足音が近づいてくる。
シャッ!
カーテンが開いた。
水色の髪の男の子とピンク髪の男の子…。
2人とも黒マスクして、
「両足見えてるよ~」
「黒髪ちゃん」
水色の髪の男の子が楽しそうに笑う。
「俺は
「こっちは
「悪いけど鞄見させてもらうね」
「あー、確定しちゃったね」
「
「なんで私の名前…」
「この盗聴器で丸聞こえだったからな」
私は両目を見開く。
え……。
なんで盗聴器が……。
グイッ!
「きゃっ」
「やれ」
「痛っ…」
「お、電話かかってきたな」
『ありすちゃん見つかった?』
「はい、見つかりやした」
『代われ』
『ありすちゃん?』
「…
私は窓ガラスに押し付けられたまま問う。
『今日は会いに行けなくてごめんね』
『でもずっと聞いてたよ、やり取り』
『ほどかなくていいとか、ほどかねぇとか、ウィッグ取るとか?』
『ありすちゃんウィッグだったんだね』
あ……。
『ほどくの好きみたいだから、リボンも俺が用意したけどどう?』
『結ばれた心地は』
「盗聴器、本当に
『そうだよ』
『電車が止まってわざと倒れかかった時に仕込んだ』
わざとだったんだ…。
「なんで……」
『なんでって知らないの? 彼女なのに?』
「っ……」
『可哀想だから教えてあげるよ』
『なんでってそんなの』
『
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