4
唇を離すと
私が少し口を開けると左手で髪を掻き分けられ……。
甘い舌が入ってきた。
あ、柔らかく絡んで……。
どうしよう、もう声が出そう。
だけど恥ずかしくて、あんなの聞かれたくない。
両手で私の腰に甘く触れた。
やばい、少しだけ声が……。
え、強く絡んで……。
「んぁっ……」
夕日に見せつけるかのように真っ白な月が輝きを増す。
その瞬間、更に、
深く、強く絡んだ。
「やぁっ……」
私の心に絡まったリボンが極上に甘く、弾けた。
体の力が抜けて……。
頭を撫でる。
首から汗が垂れた。
そこに
私の体がびくつく。
「
私の肩に顔を埋めてきた。
「…なんなの、お前」
「…ほどいてもほどいてもマジで足んねぇ」
「え……」
「…そんな顔、俺以外の奴に絶対見せんなよ」
そんな顔とは一体どんな……?
「…あー、可愛すぎてもう止まんねぇわ」
え、電話が鳴って……。
私じゃない。
『
「
『彼女から返事はもらえた?』
「はい、会ってもいいって」
『そうか。ならもうすぐ例の場所通るから』
『ちゃんと連れてくるんだよ』
「はい」
私はそう思いながらリボンをきゅっと結び直す。
「
「…あぁ」
私達は、はしごの前に置いた鞄をそれぞれ右肩にかける。
「…
「…行こう」
「うん」
*
「はぁっ、はぁっ…」
15分後。私達はカフェとアクドナルドを駆け抜け、コンビニ前の横断歩道に着いた。
2車線道路を挟んだ反対側の歩道にはイスタードーナッツとファミレスがある。
「
私が息を整えながら尋ねると、
どうか、どうか、見つかりますように。
2車線の道路を2台の車がすれ違い様に走り抜けた。
「…
「あっ……」
背の高い男の子が見えた。
セミショートの黒髪にキャップを被り、
穏やかで物静かな面差しに落ち着きと聡明さを漂わせていて、
その隣には男性がいる。
「あのキャップの人が
「…あぁ」
「隣の人は?」
「…監察官」
私はもう、何も言えなかった。
ふわり。
ぎゅっと恋人繋ぎをする。
優しい風が吹き、
2車線の道路を一台の車が通り抜けた。
それを見て、私も涙を流す。
監察官がなんなのか私にはよく分からないけど、
ねぇ、
退学にさせられたの?
理由が知りたい。
でも知ってしまったら
だから、
――――お前が話したくなった時に聞くわ。
私も自ら話してくれるのを待とう。
そして今、
私は右手を放す。
「…
「
「笑顔になれるの、買ってくる」
私はそう言ってコンビニの中に駆け入っていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます