3
*
「…甘っ」
放課後。私は高い手擦りの前で空を見ながらハルピスを一口飲んだ。
ハルピス飲んだら少し気持ち、落ち着いたかも。
これで扉、見れる。
私は右肩にかけた鞄の脇ポケットにハルピスを入れて振り返ると、
扉を見ながら祈った。
お願い。
ガチャッ。
屋上の扉が開く。
「…
「…何?」
「昼休みは逃げちゃってごめんなさい」
「その、恥ずかしくて…」
「だけど音楽室から教室に戻る途中で偶然、女の子の告白聞いちゃって」
「女の子が
私はぎゅっと鞄の肩紐を強く握る。
「私が触れたい。いっぱい触れられたいって」
恥ずかしすぎて、顔見れない。
「だから、その、えっと…」
「…あー、良かった」
「…タガが外れて」
「…いきなりあんなキスしたから嫌われたんじゃないかって」
「
「…どんなことしても?」
「うん」
「…そう」
「…じゃあ昼休みの続きするか」
こんな場所、あったんだ…。
はしごの前にお互い鞄を置くと、はしごの隣に座った。
「扉の横じゃ…ないんだね」
「…誰にも見せたくないし」
「…見せられないことするから」
私の顔が、かぁっと熱くなる。
「あ、
「私、ネクタイはまだ、ほどけそうになくて…」
「…ほどかなくていい」
「え?」
「…ほどかれると行けなくなる」
「…
「大丈夫だけど、どうして?」
「…
「
「2つ上で仲良かったけど高校辞めちゃったって
「…そう」
「…実際は自ら辞めたんじゃなくて退学にさせられたんだけどな」
私はびっくりする。
「え……」
「…俺の親父、転勤族の放置主義でたまにふらっと帰ってくる感じで」
「…そんなだから俺が中学生に上がる時におふくろに離婚され捨てられた」
「…部屋は親父が今も借りてて、ほぼ俺一人で住んでるけど」
「…
「…俺が高2になる前までずっと一緒だった」
「…周りがなんて言おうと俺にとっては親代わりっていうか兄みたいな存在で」
「…大事な人だ」
よっぽど大事な先輩だったんだろうなって思ってたけど当たってた。
「…
「…嬉しくて」
「両親や
「そんな大事な先輩に紹介したいって言ってくれたことが」
「幸せで」
「
「…会うっていっても一瞬になるけど、それでもいいか?」
「うん」
「それであの、
「興味あるの、星だけだからの星って…」
しゅるっ。
ふわっ……。
ほどかれたリボンがスカートの上に落ちると、
「…
「あ……」
立った両膝の間に私を入れてぎゅっと抱き締める。
「
あ、唇が近づいてきて……。
……え、止まった?
「…いいよ、して?」
「え」
「…触れたいんだろ?」
ふわっ……。
私は
あとは唇に触れるだけ。
だけど――――。
「…まだ出来ません」
「
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