Ice lolly3⋈お願い、バレないで。
1
涙、お願い止まって。
……あ、
リボンほどけそう。
*
「ただいま」
7月3日の夜。いつも通り部屋にいるとバイトから帰ってきた
私はドキッとする。
平常心、平常心…。
「おかえりなさい」
「着替えたらすぐ晩飯作る」
「あ、うん」
「はぁ…」
私は両手で顔を隠す。
こんなんでほんとうに家抜け出せるのかな…。
でも約束しちゃったし、
今日、仲間も来るって言ってたし、
仲間の中に同じ高校の人いたらヤバいよね…。
もし金髪のことバラされたら…。
それに…、
ただどうしようもなく会いたい。
「…喉渇いてきちゃった」
「アイスコーヒー飲んでこよう」
キッチンまで行くと、私は冷蔵庫を開けてペットボトルのアイスコーヒーを取り出しコップに注いで飲む。
「冷たっ…」
コーヒーは苦くて正直、あんまり好きじゃない。
カフェインが多く含まれてて集中力アップして勉強中に感じる眠気を防いでくれる効果があるって
今では飲むのは慣れたけど…。
…あれ?
そういえば
まだ着替えてるのかな?
それにしては遅いような…。
私はコップをテーブルに置いて、
「あの、
「…………」
何も返って来ない。
やっぱり何か変だ。
「
ガチャッ。
私は部屋の扉を開けた。
ほんのりスパイシーなシトラスの香りがする。
「…!」
エアコンに学習机とベットだけのシンプルな部屋の中で、
薄いブルーの半袖シャツのボタンは全て外れていて、
ペンダントヘッドに雪のマークがついているネックレスが見えた。
「
私は慌てて部屋の中に入り、
「大丈夫!?」
「あぁ、着替えてたらちょっと
「すぐ晩飯…」
「作らなくていい。私が作るからもう寝て」
私は強く言う。
「お前作れねぇだろ。後で寝る」
「心配かけて悪かったな。もう大丈夫だ」
私の両目が潤む。
「私が大丈夫じゃない」
「じゃあ」
開いたシャツの隙間から直接触れる
「抱き枕代わりに」
「お前の体、少しだけ借りるわ」
だ、抱き枕の代わり!?
どうしよう。
昨日のベットでもそうだったけど、
また甘く暑くなって…。
「あの、
「晩御飯作らなきゃだから…」
「行かせねぇよ」
「もう少しだけ」
心が痛い。
痛くて痛くてたまらない。
なんでそんなこと言うの?
すぐ離して欲しかった。
だって私、
ひどい妹だから。
「も…だめ…」
あ…、
やっと
「…晩御飯作ってくるね」
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