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 え…男の子の声?


 仕切り板を見ると穴が空いていた。


 なんで穴、空いてるの!?


 あ……。


 仕切り板の穴から隣のベランダに立っている白髪の男の子が見えた。

 男の子はネイビー色のTシャツに黒のスキニーパンツを穿いている。


 なんで…男の子が!?

 髪、白兎みたいに真っ白…。


 なんだか不思議な世界に迷い込んだみたい…。


 同級生ぽい感じだけど…ってあれ?

 髪の色、綺麗だって言われなかった?


 私は自分の髪に触れる。


 まずい、ウィッグつけてない。

 家ではいつも取ってるから。

 しかもだっさいTシャツに短パン……。


 私の顔がサァーッと青ざめる。


 終わった……。

 どうしよう。

 今まで髪の事は氷雅ひょうがお兄ちゃん以外秘密だったのに。

 もし、同じ高校だったら!


「あ、あのっ」


「…板壊したの、俺じゃないから」

「…野良のブタ猫だから」


 え、ブタ猫が壊したの!?


「…これ、やるよ」

 男の子は袋に入った白いサワー味のアイスキャンディーを仕切り板の穴から手渡してきた。


「え、受け取れません」


「…溶ける、早く」


 私のアイスキャンディーじゃない。

 だから別に溶けたっていいはずなのに。



 私は仕切り板に近づいてとっさに手を伸ばす。

 袋に入った白いサワー味のアイスキャンディーを受け取った瞬間、指が触れて……、


 何かが変わった気がした。


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