2
*
私が高校生になる前の春休み。
「
居間で呆然と立つお兄ちゃんに話しかけた。
「…両親とも出て行った」
「え?」
お母さんとお父さんが?
意地悪言わないでよ。
「あ、手紙? 見せて」
「お前は見るな」
「
私が無理矢理取ろうとすると、
ひらり。
『ありす、
あたし達ね、ずーっとあんた達が母と同じ金髪なのが嫌だったんだけど、
イイ人が見つかって違う人と暮らすことになったから、
明日から2人でよろしくね。
生活費は先に出て行ったお父さんが入れるから。
じゃあね、元気でね。
母と父より。』
「なん…で…」
「私達、捨てられちゃったの?」
私はその場で崩れ落ちた。
「ありす!」
「明日から2人でよろしくねって…何?」
お母さんとお父さんがイギリス人の祖母と仲が悪いの知ってた。
“祖母と同じ金髪じゃなくて、あたし達と同じ黒髪だったらね”って毎日呟いてた。
だから髪のこと気にしてたのに。
まさか別に愛人がいたなんて。
私の両目から大粒の涙が零れ落ちていく。
「私が金髪だから出て行ったの?」
「私のせいなの…!?」
「違う」
「お前は何も悪くねぇ」
「金髪だって憧れの色だ。おかしくねぇよ」
「みんな染めてんじゃねぇか」
「でも中学校で金髪のままでいたら、みんな変な目で見てきたよ」
「先生にも特別扱いされて…」
「ありす、大丈夫だ」
「俺がいる」
「
「2人で生きて行こう」
もう涙が止まらなかった。
一緒にいてくれてありがとう。
それから2人で黒のウィッグを遠くのコスプレショップまで電車に乗って買いに行った。
コスプレショップはビルの5階にあり、試着室で自分で選んだ黒のふわロングのウィッグを被ってみる。
「被れたか?」
「うん」
私が短く答えると
「…どう?
私は恥ずかしそうに尋ねる。
「似合ってる」
そして私の頭を撫でる。
「高校からは中学の連中とは別れて知らない奴らばかりだ」
「俺は金髪で通ったが、お前は黒髪ってことにすればいい」
「金髪なのは俺だけが知ってればいいだろ?」
「そうだね」
「登校する時は必ず黒のウィッグ被ること、いいな?」
「うん、分かった」
私は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます