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「
池田先生が優しくそう言うと、わたしは、ふわりと笑う。
「大丈夫です、明日も来ます」
お母さんは眉毛を下げ、両目に薄っすらと涙を浮かべる。
「ほんとにこの子は…。なんていい子なの」
「今後、このようなことがあれば学校通わせるの考えますので」
「
「うん… ぎっ……」
名前を呼ぼうとした時、肩にもたれかかってしまう。
「…明日の早朝教室で」
「…うん、約束」
*
「
「
「いえ、大丈夫です。歩いて帰れます」
池田先生は困った表情をする。
「でもなぁ」
「じゃあ、私が付き添…」
「先生、
「え、
「分かった」
「
池田先生がそう言い、
「
「
「交通事故も作戦?」
「まさか」
「真似だってバレてたんですね」
「私のこと好きになったと思ってたのに」
「なる訳ないよ、ブス」
「俺、
「
「日曜日、聞いてたの?」
「はい、チェリバにいました」
「私、ストーカーですから」
「どんな手を使っても
「キミには一生手に入らないよ」
「
「そうですね」
「
「いつも
「次は何するつもり?」
「マラソンで勝つ」
「なんだ、正当じゃん」
「なら俺も本気でマラソン走ろうかな」
*
12月15日。
わたしは廊下を駆け足で走る。
楽しみのあまり、昨日、眠れなかった。
わたしは、ハァハァ、と息を切らしながら名前を呼んだ。
「
ガラッ、と教室の扉を開ける。
「――――!!」
…え?
なんで
わたしは、
目が合うと、
「
その笑顔に違和感を感じた。
わたしはどうしていいか分からず、ただ茫然と立ち尽くす。
「あ、おは…」
「今日は早いね」
「誰に会いに来たの?」
「それは…」
「この桃色のパーカー、
「フードもさっきまでいた
「桃ずきんだからって」
「え?」
それを見たわたしは複雑な気持ちになった。
わたしの動揺した顔を見ると
「ははっ、
「
「っ…」
わたしは図星を突かれ、何も答えられない。
「嘘だよ」
「桃色のパーカーは私の」
「
「ここにいるのは昨日、2人が病院の待合室のソファーで約束してたの聞いてただけ」
「
「なんでそんなこと…」
「分かってるくせに」
「私も
やっぱり…。
「だから
「そしたら隣で話せた」
「手にも触れられた」
わたしと
「一つ言っておこうと思って
「
「
わたしは、もっともなことを言われ黙る。
確かに。
数秒間、沈黙が続いた後、
「黙ってないでなんか言えよ」
わたしは泣きそうになる。
「分かってる」
だけど…。
「なら」
え、わたしの席に座って…。
「さっさと諦めて、
わたしは真っ直ぐ
「だめ」
「ここはわたしの席だから」
ガラッと教室の前の扉が開く。
「何やってんの?」
「体調悪くて
「少し休んだらよくなった」
「
「…………」
わたしが黙ると、耳元に
「…明日のマラソンで私が勝ったら席譲ってね」
負けたら席替えの前に恋が終わってしまう。
最悪、高校にも通えなくなるかもしれない。
それでも、わたしはこの
「…分かった」
もう、負けられない。
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今日も隣の席でぎゅっとして。❄︎ 空野瑠理子 @sorano_ruriko
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