Silver snow11*隣の席になった意味ないもん。
1
泣くよ。
だって、
隣の席になった意味ないもん。
*
「
12月13日の朝。右隣の
――――土日に出掛けるの禁止。平日も真っ直ぐ帰ってくること、いいわね?
昨日、お母さんにそう言われたけど、言えない。
言ったら
「うん、大丈夫だったよ」
「…嘘が下手」
「え?」
「なら、良かった」
「え、今日、
ゆりちゃんがそう言うと周りもざわざわし始めた。
わたしは1年A組の教室で左隣の席を見る。
そういえば
もう登校しててもおかしくないのに。
どうしたんだろう?
「ねぇ、
「…守るって言ったくせに」
「え?
「連絡ないよ」
わたしはスマホを鞄から取り出す。
でも、
「そっか…中学の時も突然来なくなったから心配」
「そうなの?」
わたしが
「うん…」
2人は
だけどわたしは何も知らない。
「昨日、
「え!?
「あー、うん。コンビニの近くに3人でいたら偶然会って」
「『銀髪ヤンキーが話しかけてこないで』って拒絶されてね」
「
そんな…。
喉が熱くなる。
ぜんぶ、わたしのせいだ。
わたしが嘘ついて
土日に出掛けるの禁止も平日も真っ直ぐ家に帰ることにはならなかったのに――――。
ぽん、と
「
「俺が“全部から守る”から」
ふとわたしの脳裏に
――――俺はお前を手放すつもりねぇから。
寂しさでわたしの胸がきゅっと痛む。
いつも、当たり前のように
それが、すごく悲しくて、苦しい。
苦しいよ……。
*
時間が過ぎ、4限。1年A組では保健体育の授業が行われていた。
「あっ!
窓側の1番前の席に座っているゆりちゃんが声を上げる。
「ほんとだ」
「
ガタッ。
わたしも慌てて勢いよく席から立ち上がると、机の脚に膝をぶつけた。
「痛っ」
痛みを堪えながら窓まで駆けて行く。
「何やってる!」
「まだ授業中だぞ!? 座れ!」
硝子張りの窓から、
窓の外を見ると花びらのような雪が降っていた。
わたしの両目にも、くっきりと校庭を歩いている
黒のパーカーの上に雪色のブレザーを羽織り、右肩にチョコレート色の鞄をかけた制服姿の
「っ…」
わたしの両目に溢れるような輝きが満ちた。
わたしは口を両手で押さえる。
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