2
*
中2の2月。
「
「めんどくせぇ」
白のカーディガンに学ランを着た
「あっ」
セーラー服にグレーのカーディガン姿の
「やばっ、実習ノート忘れちゃった」
「2人とも先に行ってて。取って来る」
2年B組の教室の中に入ると、自分の机に手を突っ込む。
「実習ノート、あった」
ガラッ。
少し開いていた教室の前の扉が全開に開く。
学ランを着崩した甘い顔の金髪のヤンキーの
この人、
3年A組の
え、何?
近づいてくる?
怖い、逃げよう。
すると椅子の足に引っかかり、
ガターンッ!
「痛っ…」
あ、片方のシューズが脱げ…。
「大丈夫か?
「大丈夫、すぐ終わらせるから」
そう言って
カーディガンのボタンを外していく。
「あ…」
どうしよう、恐怖で声が出ない。
カーディガンを半分まで脱がされると
「
片耳につけたゴールドの十字架ピアスが
無理矢理キスされるなんて――。
甘い顔からは想像もつかない程、とても乱暴で気持ちの悪いキス。
キスから伝わってくる切なさと痛みに、全身が恐怖で震える。
キスはどんどん深くなっていく。
「ぁっ…」
やだ、気持ち悪い。
助けて、
「おい、俺の
「あ?
「てめぇはシチューでも作ってろ」
「きゃっ…」
「いってぇ」
「あーあ。そんなんだからだめなんだよ、
「
「入学式の時、『俺の
「その
「俺と仲良くしとけば
「
「一緒にいない方が幸せなんじゃないかな?」
「…勝手に人の幸せを決めないで」
「私は
「そうかよ」
「気が変わったらいつでも言ってくれ」
「しらけたから行くわ。じゃあな」
「…やっぱ、お前の後を追いかけてきて正解だったわ」
「
教室の中はしんっとしていて、
「言いたくねぇなら言わなくてもいいけど」
「…あいつに何された?」
「キスだけ…」
「そうか」
「大丈夫か、
「大丈夫…じゃないよ」
「“ファーストキスは好きな人”だって決めてたのに…」
「だったらそんなもん」
「今から俺が消してやる」
「え…」
窓の外で泡のように溶けやすい雪が降り始めた。
カチカチカチ。
教室の時計の長針が動く。
「
耳元で甘く囁く。
「あ…」
カチ……。
教室の時計が12時になった。
「だめ」
「
「
*
「――そうやって
「ほんとうは怖くて出来なかっただけ」
「…
胸が、ぎゅっと絞り上げられるように苦しくなる。
そうだったんだ…。
やっぱり、キスしようとしてたんだ…。
「
「そんなの間違ってる」
「私は好きな人として欲しい」
だって
そう言いたいのに言葉が詰まって言えない。
だけどこれだけは聞かなくちゃ。
「
わたしは勇気を振り絞り、声を震わせながら尋ねる。
「ううん、友達として好きなだけだよ」
「…って言えたら良かったのに」
「私、
その告白を聞いた瞬間、心が熱くなった。
わたしの両目にじわり、光が浮かび上がる。
「
なら、わたしもほんとうのことを伝えなきゃだめだ。
わたしもじっと
椅子に座ったままぎゅっと自分のスカートを掴むと、必死に声を絞り出す。
「わたしも
顔が熱い。
言ってしまった。
もう後には引けない。
「じゃあ今日からライバルってことで」
「
ライバルなのに応援してくれるの?
「じゃあ、わたしも
わたしと
わたしはその手をぎゅっと握り締める。
「
「
「うん、
そう答えた時、霧雨が止んだ。
曇り空の間から太陽がのぞくと、ぱあっと一筋のオレンジ色の光が校庭をさす。
周りや教室が明るくなると同時に、曇り空もだんだんと明るくなっていき、その間に美しい虹がかかっているのが窓から見えた。
「嘘、虹!?」
「綺麗…」
空にかかる虹はまるで――――、わたし達を応援してくれてるかのように見えた。
「そうと決まればよし、早速、イメチェンだ」
「
「カーディガンも腰に巻こ」
急に張り切り出した
昨日は
だけどもう、わたし、諦めない。
わたしと
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