Silver snow7*隣で待ってる。
1
雪の羽なんてすぐに溶けてしまう。
それでも
だから…待っていて。
*
「ゴホゴホッ…」
12月8日の朝。わたしは自分の部屋で咳き込んでいた。
ふわり。
お母さんが、わたしのおでこに優しく手を当てる。
「熱はないみたいね」
「だけど咳出てるから大事を取って今日は高校休みなさい」
「高校には連絡しておくから」
「うん…」
わたしが短く答えるとお母さんは部屋から出て行く。
ぱたん…。
部屋の扉が閉まった。
わたしは、はぁ、と小さく息を吐く。
喉が痛い。
苦しい。
でも、一番苦しいのは、心。
昨日保健室で
キスしたところを見た訳じゃない。
何かの見間違いかもしれない。
だけど
あんな場面見ちゃったし、高校休んで逆に良かったかも…。
季節の変わり目、ほんとだめだな。
わたし、ちょっと調子に乗ってたかもしれない。
今はただ、寝てよう。
それから少しうとうとしていると、ピロン♪
枕の隣に置いてあるわたしの白色のスマホから音が鳴った。
わたしは寝たままスマホを手に取って見てみる。
グループトーク…
『イケメンから聞いた』
イケメン!?
誰!?
メッセージをタップし、ラインのグループトーク画面を開く。
『
あぁ、イケメンって担任の池田先生のことか…。
ぽん。
トークが更新され流れていく。
『
『
『私が
『ううん、気にしないで』
『わたしは大丈夫だから』
『
わたしがトークを返すと、
『私はもう大丈夫』
『
『じゃあ、
え…。
わたしはスマホの画面をじっと見つめる。
『
『昨日はごめんね』
今日は謝られてばかりだな…。
『今から電話で話せる?』
え…今から電話で話!?
わたしはトークを返す。
『咳が少し出るくらいなので大丈夫です』
『分かった』
『じゃあ手短に謝らせるね』
え、手短に?
電話がかかってきた。
わたしは飛び起きてベットにちょこんと座り直し、胸をドキドキさせながら電話に出る。
『もしもし!?』
『黒ずきん? ゆりだけど』
わたしはトゲトゲした大きな声に驚く。
「え、ゆりちゃん…?」
弱々しい声で尋ねると、
『何勝手に高校休んでんの?』
『ちょーウザイんだけど』
ゆりちゃんに罵声を浴びせられる。
『ちょっと、ゆり!』
『早く謝んなよ』
『昨日は青井使ってひどいことしてごめん』
『でもさ、黒ずきん最近強くなったよね』
『そこだけは認めるけど』
『
『“特別 ”なんて許さないから』
ゆりちゃんから
『
『アレでも謝ってるつもりだから』
「ううん」
『ゆっくり休んで』
『
わたしの為にゆりちゃん謝らせてくれるなんて…。
本当に感謝しかない。
「うん、2人ともありがとう」
わたしがそうお礼を言うと電話が切れた。
ベットに横になり、スマホをぎゅうっと抱き締める。
でも、
わたしはスマホを抱き締めたまま、すぅっと眠りについた。
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