2
動揺を隠せない
「
「早く逃げて」
ゆりちゃんに言い返せるようにはなったけど、わたしは、まだまだ弱い。
だけど…。
頬を流れ落ちていく涙。
この高校で
だから、わたしはもっともっと強くなるんだ!!
「
「黒ずきんちゃん、かっこいい」
「
「
「
わたしが尋ねると、
「そうだよ。
青髪ヤンキーの青井くんは、にこっと笑う。
「じゃあ今回は
「違うよ」
「
「今回は君達がよく知ってる1年A組の女の子からの依頼」
それを聞いたわたしの血の気がサァーッ、と引いていく。
ゆりちゃんだ…。
「だから
――――グィッ!!
青井くんが、わたしの顔を両手で覆う。
「俺の本命は黒ずきんちゃんだから」
そう言って悪魔な表情で笑うと、わたしの全身が震えた。
「やめ…て」
「
同じ目ってことは
なら尚更、負ける訳にはいかない。
「
「わたし、黒ずきんだもん」
「こんなの平気だよ」
「だってさ」
「なら遠慮なく」
わたしは、ぎゅっと両目を瞑る。
このままキスされる!
……。
…あれ?
青井くんが、わたしの顔から両手で覆うのをやめる。
なん…で?
そう疑問に思った瞬間、青井くんが、わたしの腕をひいて、ぎゅっと抱き締める。
え…何?
青井くんは、わたしの耳元に唇を近づける。
「キスされると思った?」
「ごめんね」
「ちょっと痛めつけてっていうのが彼女の要望だから」
「黒ずきんちゃん、おやすみ」
青井くんが抱き締める力を徐々に強めていく。
「ぁっ……」
わたしはぎゅっと潤んだ両目を閉じる。
徐々に涙へと変わっていき、睫毛に溜まる。
怖い、痛い、苦しい…。
パタパタッと駆けてくる音が聞こえた。
バンッ!
後ろの白色の扉が全開に開く。
「おい、B組の青井」
「授業サボって何やってんだよ」
ぁっ……ぁっ……。
この……声は……。
「あー、ある女の子に頼まれちゃってさ」
「そのくらいにしとかないと先生に言うよ?」
「それは勘弁して欲しいかな」
「ちょっと痛めつけて脅してって頼まれただけだから」
青井くんがわたしを放して突き飛ばす。
「きゃっ…」
「
ぽすっ…。
「じゃあね」
青井くんは手を軽く振り、教室から出て行く。
「
その言葉で恐怖感が少しだけ和らいだ。
本当は平気なんかじゃない。
だけど強いわたしを見せたいから。
わたしは、ふわっと笑う。
「うん」
「わたしは平気」
そう嘘をついた。
すると、
「
崩れ落ちる
すると
あ……。
「俺が保健室連れてくわ」
「
「分かった」
「
「何言ってんだよ!」
「大丈夫じゃねぇだろぉが!!」
「っ……」
「行くぞ」
そして一緒に後ろの扉から教室を出て行った。
わたしは後ろの扉まで、のろのろと歩いて行く。
「
すると急に体の力が抜け、わたしは扉の前にしゃがみ込むように崩れ落ちる。
「
「大丈夫、ちょっと疲れただけで…」
「
「よく頑張ったね」
「ゴホゴホッ…」
わたしは咳き込み、手で口を押さえると、
「手震えてる」
「怖かったよね」
「ごめんね」
なんで、
「
「
「一緒にいない方がいいんじゃないかな?」
そう言った
胸が、きゅっと締め付けられる。
「え?」
わたしは動揺する。
なんでそんな突き放すこと言うの?
わたしは何があっても、
「りんりん、いたぁ!」
そう言ってリボンで少し結び、ゆるふわな髪を流した女の子が教室に入ってきた。
女の子が
「先生がぁ、りんりんや
「早く戻ろ」
「待って」
「
「
わたしは
「大丈夫、一人で行けます」
*
そう思いながら廊下を歩いていると保健室が見えてきた。
あ、保健室の扉開いてる…。
わたしは扉から中を覗く。
開いたカーテンレールに、
「――――!!」
わたしは目を見開いた。
眩しく暖かな光が2人を照らしていく。
ギシ…。
「っ…」
わたしはその先を見れなくて保健室から離れ、自分の口を両手で押える。
え、え?
もしかして…キス?
わたしの心がズキズキと痛む。
どうしよう、わたし、傷ついてる。
――――
教室での
…そっか。
“
わたしは、ふっ、と笑う。
わたしは保健室に背を向けて壁に手をつきながらゆっくりと歩き出す。
わたしの両目から光が消え、闇が広がっていく――――。
わたしは、みんなと一緒にいるべきじゃない。
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