2
*
「ねぇ、
登校早々、
この子は、
茶髪のセミロングで前髪はパッツン。
同じ1年A組で
生徒達がチラチラとわたし達を見ては門の中に入っていく。
目つきが鋭くて怖い…。
体が固まって動かない。
「黒ずきん、
ゆりちゃんがトゲトゲした口調で聞き返してきた。
わたしは俯いてぎゅっと両目を瞑る。
どうしよう…。
譲りたくない。
――あれ?
わたしの脳裏に
助けて、
「おはよう、
薄い灰色に水色のチェック柄のズボンを履いていて、右肩にチョコレート色の鞄をかけている。
周りがざわつき、女の子達の視線が一気にわたし達に集まる。
「
ゆりちゃんは声をあげる。
ゆりちゃん、物凄く驚いてる…。
わたしもびっくりして声が出ない。
「そんなに俺の隣になりてぇの?」
「!?」
え、何!?
「…朝から絡まれてんじゃねぇよ」
わたしは顔を赤らめたまま黙る。
言葉は乱暴なのに甘く優しい声…。
顔が熱い。
助けられてしまった…。
*
数分後、わたしは1年A組の教室の前に着く。
扉を開けたら
ドキン、ドキン、とわたしの胸が物凄い音をたてる。
わたしは勇気を振り絞って教室の前の扉を開けた。
しかも机に伏せ寝してる。
わたしは胸をドキドキさせながら、ゆっくりと
今日から
わたしは机に鞄を置いて席に座る。
夢じゃないんだ。
ほんとうに今日から
嬉しくてまた泣いてしまいそう。
…あ、そうだ。
挨拶!
それにさっき助けてもらったお礼も言わないと。
わたしは口をゆっくりと開く。
「…おはよう」
「…さっきはありがとう」
わたしは小さな声でぽつり呟いた。
しん、と静まり返る教室。
わたしは眉を下げ、苦笑いする。
勇気を振り絞って言ったのに返事ない…。
寝てるの分かってて挨拶とお礼言うなんて…恥ずかしい。
また後で言い直そう。
「もっと大きな声で言えよ」
…え?
わたしの頬が熱くなる。
わたしがびっくりして固まっていると、
わたしは両手で熱くなった顔を覆う。
どうしよう。
嬉しくてまた泣いてしまうよ。
*
放課後、わたしは鞄を持って廊下を歩いていた。
朝、ゆりちゃんに絡まれたけど今日は幸せな一日だったな。
コツン。
…ん?
足に何かが当たった?
わたしはピタッと足を止めて床を見る。
足元にシューズが転がって落ちていた。
片方だけ?
「あっ、ごめん」
「走ってたら脱げちゃった」
片方のシューズが脱げた茶髪の女の子が手をぱんっと合わせて謝ってきた。
わたしと違って制服がとてもよく似合っている。
「いえ…」
わたしは動揺しながらも小さな声で答える。
「も~、何やってんの?」
「シンデレラかよ」
それを見た女の子と男の子達がクスクスと笑う。
シンデレラ?
あ、この子って…。
「何やってんだよ」
「
そうだ、
わたしがドキッ! とすると、
「ちょ、拾わなくていいから!」
あ、
わたしは
そして初めて話したのに分かってしまう。
わたしは
「ほんとごめんね」
「じゃあ、また明日ね」
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