2
わたしは目に涙を溜めながら、しゅんと落ち込む。
…なんて無理だよね。
1学期に2回、2学期に1回席替えしたけど全部離れた席だったから…。
もう諦めてる…だから。
「では出席番号順にクジを引きにくるように」
池田先生がクジの箱を教壇に置く。
せめて、どうか、どうか、
「――全員クジ引いたな。じゃあ席移動」
池田先生が言うとみんな席を移動し始める。
フックに鞄がかかったグリーンの机。
教科書の束や体育館シューズが入った袋が置かれた後ろのロッカー。
すぐ近くには後ろの白いドア。
わたしの顔が暗くなる。
最悪だ…。
寒い日陰の席になってしまった…。
雪を受け取れたくらいで『…いいことあるといいな』って呟いた自分が恥ずかしい。
「…だよね」
誰にも聞こえない弱弱しい声で呟く。
現実は甘くない。
雪を受け取れても、いいことなんて起きるはずがない。
「あれ?
え…この声は…。
窓の外で、ふわふわの雪が降る。
え、え…
話しかけてくれて、しかも“
知っててくれてたんだ…。
嘘…、こんなことってあるの?
わたしの視界がぼやけ、みるみる内に光が浮かびきらきらと揺れる。
雪は降り積もっていく。
眉が下がり、わたしは震えながらも両手で自分の口を押える。
ねぇ、どうして?
ずっと諦めてたのに。
「おい、しゃがんでどうした…」
ぽろぽろ、と涙が零れ落ちていく。
その涙は、今までとは違って、一粒ずつキラキラと輝いている。
わたしは涙を
無謀な恋だって分かってる。
だけど、隣の席じゃなくなるまで好きでいよう。
今日、憧れの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます