世界の仕組み②
悠はシェリーの話を聞きながら、これまでの冒険の日々を思い返していた。次々と現れるモンスター、不思議なダンジョン、手に入るスキルや装備。そして、仲間たちとの出会いと別れ。
「確かに…言われてみれば、これってまるでゲームみたいだよな。」 悠はつぶやくように言った。「最初は弱かった俺が、こうやって少しずつ強くなって、今じゃドラゴン相手にも生き残れるようになってる。…なんか、レベル上げしてる感じだ。」
リリアがふっと笑った。「そう言われてみれば、確かにね。私たち、スキルや装備を手に入れるたびに強くなってるけど、それってまさにゲームみたいな仕組みよね。」
セリナも静かにうなずいた。「でも、その中で学んだことや感じたことは…全部、本物だと思います。だから、仮想現実だって聞いても、簡単には信じられませんけど…。」
シェリーはその様子を見て、軽く肩をすくめる。「まぁ、そう感じるのも当然よ。でも、この世界の真実はもっと大きいの。君たちが感じているように、これは単なる遊びのためのゲームじゃない。」
悠が眉をひそめた。「じゃあ、なんでこんな世界を作る必要があるんだよ? 俺たちに試練を与えて、一体何をさせたいんだ?」
「目的はね、君たちの成長よ。」 シェリーは優しく微笑みながら説明を続けた。「君たちの魂を、もっと高次の存在に近づけるためにね。」
「魂…?」 リリアが目を丸くする。
シェリーは空を見上げ、どこか遠くを見るような目をした。「この世界だけじゃなく、他にも無数の世界が作られている。それぞれの世界で、いろんな試練が用意されていてね。君たちはその中で生き抜き、戦い、仲間と助け合いながら“経験値”を積んでいく。だけど、その経験値は単なるゲーム内のレベルアップじゃない。“魂”そのものに刻み込まれる、本質的な成長なの。」
悠は混乱しながらも、次第に納得するようにうなずいた。「だから…俺たちがこうやって強くなっていくのも、魂が成長してるからってことか?」
「その通り。」 シェリーは笑みを深めた。「物理的な強さやスキルの熟練度は、いわば副産物。本当に重要なのは、君たちが何を選び、どう成長していくか。その選択が魂に刻まれ、最終的には次の世界での力となる。そうやって、少しずつ高次の存在へと近づいていくの。」
セリナが困惑した表情で尋ねる。「でも、そういう世界を無数に作るって…誰がそんなことをしているんですか?」
「それを管理しているのが“本当の管理者”よ。」 シェリーは静かに言った。「私はその見習い。だから君たちの成長を見守りながら、自分自身も学んでいるの。」
悠は少し考え込んでから苦笑した。「なんか、大きすぎてよくわかんねぇけど…俺たちはその“魂の経験値”とやらを稼ぐために戦ってるってわけか。」
「そう思ってくれていいわ。」 シェリーは手を叩いてドラゴンを後ろに引っ込ませた。「さぁ、休憩も終わり。次に進む準備をしておきなさい。君たちの成長は、ここで止まらないんだから。」
悠たちはその言葉に圧倒されながらも、少しずつ次の冒険への覚悟を固めていった。
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