シェリーの企み



 シェリーの言葉が空間に響き渡り、悠たちは一瞬の隙間も与えられずに次々と襲いかかる魔物たちに囲まれた。巨大な魔物たちは、まるで彼らがテスト対象であるかのように、悠たちを取り囲んでいる。


「どうなってるんだ、これ!」

 悠が驚きの声を上げると、リリアが冷静に答えた。


「シェリーが言った通り、これはテストよ。私たちがどれだけ進化したかを見たいんだろうけど…まさかこんな形で来るとは思わなかったわね。」

 リリアはすぐに戦闘態勢を整え、悠に向かって言った。


「悠、準備はいいわね?みんなが私たちの後ろにいるから、まずは守りを固めて!」

 リリアの指示に、悠は黙って頷く。彼の目に燃えるような決意が宿っていた。


「わかった、任せてくれ!」

 悠はすぐに自分の盾を構え、守りを固める。セリナはその横で、回復魔法を準備しながら悠の戦いを見守っていた。


 一方、シェリーは静かにその様子を見守っていた。彼女はまるで遊園地の観客のような目で、悠たちの戦いを楽しんでいるようだった。


「うーん、君たちの成長具合を見てみたくてね。どれほど変わったのかしら?」

 シェリーは無表情のままで、手元の画面を操作する。モニターに映し出されたのは、悠たちが戦う様子。だが、その画面はただの戦闘シーンではなかった。


「さて…君たちがどれだけ進化したのか、見せてくれるかな?」

 シェリーが呟いた瞬間、魔物たちは一斉に動き出す。まずは大きなゴーレムが悠に向かって突進してきた。


「来るぞ!」

 悠は盾を構え、ゴーレムの進行を受け止める。巨大なゴーレムの一撃が盾に衝突し、圧倒的な力が悠を圧迫する。


「うっ…!」

 その力は、今までの経験では考えられないほどのものだった。しかし、悠は驚くべきことにその衝撃を何とか耐え抜くことができた。


「流石に…ちょっと強すぎだろ!」

 悠は歯を食いしばりながらも、盾を強く構えて踏ん張った。その間、リリアは彼の後ろから援護魔法を放つ。


「悠、大丈夫!私が援護するわ!」

 リリアは空間に魔法を放ち、ゴーレムに向かって炎の弾丸を発射する。その攻撃がゴーレムに命中し、一瞬の隙間を作った。


「今だ!」

 悠はその隙間を狙い、一気にゴーレムの足元に潜り込んだ。盾で防ぎながら、素早く足元を攻撃する。ゴーレムが足を取られて崩れ落ちる。


「やったか?」

 悠が安堵の表情を浮かべたその瞬間、シェリーが無表情で呟いた。


「まだまだ、まだ足りないわよ。」

 その言葉と共に、ゴーレムが再び立ち上がり、周囲の魔物たちも一斉に動き出した。


「え?!」

 悠は驚愕した。その光景に、セリナが声を上げる。


「この数…!どこからこんなに?」

 シェリーはその様子を見ながら微笑んで言った。


「私が仕掛けたのは、君たちの力を試すためのほんの一部よ。でも、君たちがどれだけの進化を遂げたのか、もっと見てみたくてね。」


 シェリーの言葉通り、次々に現れる魔物たちは異常なほどの数だった。巨人、ドラゴン、精霊、そしてそのすべてがかつてないほどの強さを持っていた。


「これって、まさか…?」

 リリアが息を呑み、戦いの中で悠を見つめる。


「そう、君たちの力が本当にどれだけ進化したのかを測るためよ。」

 シェリーの言葉に、悠たちは動揺を覚えた。


「…でも、こんな力を試すために、命を危険に晒していいのか?」

 悠が振り返ってシェリーに問いかけると、シェリーは冷静に答える。


「命を危険に晒すのが嫌なら、最初からテストなんて受けない方がいいわよ。」

 その冷徹な言葉に、悠たちは一瞬でその意味を理解する。


「私たちの力は、こんな試練を乗り越えてこそ本物だってことか…」


 悠は決意を新たにし、再び戦闘の準備を整える。リリアも一歩前に出て、セリナもサポートを続けながら魔法を次々と放つ。


 そして、彼らは覚悟を決めて、次なる試練に立ち向かうことになるのだった。

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