第10話

4人で行動するようになってからは、毎日が楽しかった。

そのころが、多分 一番楽しかったのかも・・・・・・?

もし、時間を戻せたら・・―――。

もう一度・・・もう一度やり直せるのに・・・――――。



********


「サオリちゃん!いつになったら『デート』してくれるの!?」

「ひゃっ!!」


突然、机の上をバンっ!って叩く音がして、ビクッとなった。

ふと見上げると、トオルくんが焦れったそうな顔をして、見下ろしていた。


「電話番号とか、訊いてもいい?」


え・・・。

この前、言った「あれ」って冗談じゃなかったの?


初めてトオルくんと話した翌日、「『デート』しようよ」って口説かれたことを思い出した。

でも結局、上手く断れないまま・・・そのままになっていたんだっけ。


「今日こそは、こたえてもらうからねっ」


うぅ~ もう逃げられない~~~~。

何て 応えたらいいんだろ・・・・・・?


・・・って動揺しながらも、口を突いて出てきた言葉は‥―――。


「ト、トオルくん。た・・大変ねぇ~ あれだけの女の子たちの誘いを断るのも・・・・・・」

と言ってみて、すぐに後悔する。


さっき、何人かの女子生徒たちに言い寄られていたトオルくん。

てっきり、断るのに手間取っていると思ってた。

だけど、実際は違ってた。


「断る? オレ、断ったことないけど」

って、あっさり応えられた。


え・・・・・・。

もしかして、全部受けてるってこと??



「そんなこと、サオリちゃんが心配しなくても大丈夫だよ」


別に、心配してないけど・・・・・・。


「サオリちゃんが『デート』したいって言ったら、ちゃんと”スケジュール”空けとくからね」


あ~ そういうことね。

だから~ そうじゃなくって・・・・・・。



予想外の展開にどうしていいか分からず、どぎまぎしてしまう。

やっぱり、この人 苦手~~~。

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