第9話

ある日の放課後・・―――。

同じクラスメートになった縁もあってか、トオルくんとリョウちゃんと3人でお喋りをしていた。


ちょうどそのとき、勢いよく教室のドアが開いたかと思うと、突然 もの凄い形相をした女子生徒が飛び込んできた。


「トオル!! あんた、また女の子クドイてたでしょ!?」

「げっぇ! ユ、ユウコ・・・・・・!」



「ユウコ」と呼ばれたその女子生徒は、頭に血が上っているみたいだ。

今、鋭い目つきでトオルくんを睨み付けている。




河合 裕子。


彼女とは、この日が初対面だったんだけど、後に 私の強い味方になってくれる大事な親友・・・・・・。

当時は、明るい茶色系に染めた長めのストレートの髪をポニーテール風に纏めていた。

綺麗な顔立ちをしているけど、見た目が派手な為、近寄りがたさを感じた。


え・・・。

何・・・・・・っ!!

すごい迫力・・・・・・。


「お前・・・ あのには、弱いのな~」

リョウちゃんは、もう既に見慣れているみたいで大してあまり驚きもせず、2人の葛藤を眺めていた。


「ねぇ いつもこんな感じなの?」

私は、リョウちゃんの耳元で小さい声で訊いてみた。

「あぁ もう慣れっこだよ。でも、今日のはまだ甘い方だぜ」


えぇ~~~~。

いつもは、もっとすごいの~!?


あまりの驚きに思わず、大声を出しそうになった。



ユウコとトオルくんの出会いは、まだ2人が「中学生だったころ」・・・ていう話をリョウちゃんから聞かされた。

そのころ、2人は別々の学校へ通っていて、顔も名前も、お互い知らなかった。

そんな2人がどうやって出会ったのかというと、「遊び人」の癖が直らないトオルくんのナンパだったらしい。



「あ、そういえば・・・・・・ ユウコが、しょっちゅうウチのクラスに来てたなぁ」

1年前のことを思い出したのか、リョウちゃんがこんな話をしてたっけ。


高1のとき、他のクラスだったユウコは、毎日 休み時間になると、トオルくんたちのクラスへ来て、女子に人気があるトオルくんの周りを常に監視していたらしい。


「家柄が、ものすげぇ~ 金持ちらしいよ」

リョウちゃんが言った言葉にも、「へぇ~ そうなんだぁ」・・・って、そのときは何気なく応えたんだけど。

どれくらいすごい家柄のお嬢様だってことを実際、全く分かってなかった。

ユウコは、見た目は少し派手だけど「お嬢様」だって感じが全然、しない女の子だった。だから、普通に友達として接していた。


だけど・・・・・・。

トオルくんとは、相変わらず痴話ゲンカばかりだった。

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