第4話

「お前って・・・ 最低サイテーだな」

リョウちゃんは、そんなトオルくんの態度に、もはや呆れ顔・・・・・・。



かつては『プレイボーイ』とまで言われていた彼が、そのときの状況を何も覚えていないなんて信じられない。



「この子、本当にオレの子なのか? ・・・他の男の子供じゃないのか?」

「いいえ! 間違いなく、アタシとあんたの『子供』よ」



そして・・――――。

次の瞬間、ユウコが耳を疑うようなことを言い出した。



「あんたが、”アタシ”と”サオリ”を間違えてね・・・」



ト、トオルくん・・・!

それは、一番ダメなパターンだよ。



「ふぅ~ん・・・ それで?」

私の横でリョウちゃんが、もの凄い睨みをトオルくんに向けていた。


そうとは知らずに、ユウコは続けて喋りだす。



「トオル、あのとき べろんべろんに酔っぱらってて、アタシがあそこへ迎えにいったわけ」

「そ・・・その話はするなって言っただろ?」


トオルくんが、咄嗟にユウコを止めようとしたけど。

時すでに遅し・・――――。



「そしたら、アイツ 『サオリちゃん、サオリちゃ~ん』って、アタシを強引にベッドに押し倒しちゃってさ~」



ユウコ・・・!

それ以上はまずいよぉ~。



「わ~~!やめろ~~~!!」



もう既に、顔面蒼白になったトオルくんが、大声を上げた途端・・・。

私たちのすぐ近くでもの凄い殺気を感じた。



「お前とは、もう少し話す必要がありそうだな。トオル~~~!!」

リョウちゃんは、あまりの怒りで声を震わせている。



「・・・おや? アタシ、何か 余計なこと言っちゃった?」

ユウコは、凄まじい空気を感じたのか、咄嗟とっさに自分の身を守ろうとする。



「後で、話の続きをよ~く聞かせてもらおうか(怒」

「あはは・・・ 何か、取り込み中だから、アタシ、先帰るね」

「じゃぁ、オレも! 何か、用事を思い出した!」



リョウちゃんが、ユウコと一緒に逃げ出そうとしているトオルくんを捕まえると。



「お前は、待て! たまには、男同士で『ゆっくり』話し合おうぜ。トオル」

・・・って、「もう、言い逃れが出来ないぜ」って視線をトオルくんに向けた。



せっかく「仲直り」が出来たと思っていたのに・・・・・・。

また、険悪な状態に戻ってしまった。




2人がこうなってしまった切っ掛け・・・?

それは、私たちが出会った8年前にさかのぼる・・――――。

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