第3話
そういえば、ユウコにも招待状を送ったはずだけど・・・・・・。
てっきり、トオルくんと一緒に来ると思ってたのに。
会場の何処にも姿が見えない。
彼女も、学生時代からの友人。
「ユウコは?」
トオルくんに訊いてみた。
すると、急にトオルくんの表情から笑顔が消えた。
「え・・・? あぁ アイツ・・・ アイツね・・・
今日、体調が悪いからって、来られないって・・・・・・」
何だか ちょっと様子がおかしい。
そのとき・・――――。
「サオリ~!」って声が聞こえたかと思うと、ユウコがこっちへ向かって歩いてきた。
「ごめん、ごめん! せっかく『招待状』もらったのに、この子がなかなか泣き止まなくてね・・・」
あれ?
今日、「来られない」ってトオルくんが言ってたはずだけど・・・・・・?
それに、ユウコの腕に抱きかかえられている小さな赤ちゃん。
今、スヤスヤと眠っているみたい。
誰・・・? この子・・・。
親戚の子かな・・・・・・?
「サオリ! おめでとう~ 良かったねぇ~ リョウくんと”結婚”出来て」
ユウコは、涙ぐみながらまるで自分のことのように喜んでいる。
「あんたが邪魔しなければ この2人は、もっと早く”結婚”出来たかもしれないんだからね」
「違う、違う。オレのお蔭で”結婚”出来たんだよ。こうなることは、ちゃんと予想してたさ・・・・・・」
「あら~? そうかしら??」
ユウコが、疑いの目でトオルくんを見つめたとき・・―――。
「ユウコ。体調は、もう大丈夫なのか?」
リョウちゃんが、心配そうな顔をしてユウコに訊いた。
「アタシ? 全然、体調悪くないわよ~」
ユウコはそう言って、トオルくんを横目で見つめた。
そして、悪戯っぽい笑みを浮かべると・・――――。
「さっきからずっと”抱っこ”して腕が疲れた。 はい、パパ! 交代ね~」
今まで自分の腕に”抱っこ”していた小さな赤ちゃんをトオルくんに手渡した。
「げっ! 何で、オレが!?」
「アタシとあんたの子でしょ?」
えぇ~~~!!
ホントにホント~~~~!?
リョウちゃんも、さっきまでトオルくんに、友好的な視線を見せていたのに。
「へぇ・・・ それは初耳だな」
・・・って、疑うような目をトオルくんに向け始めた。
「オレは認めないからな!」
「そうね。間違えて出来た子供だしね・・・」
意味が分からない。
それって・・・ どういうこと?
「しょうがないだろ?酔ってて何も覚えてないんだから・・・」
って、トオルくんがユウコにボソッと口走ったとき・・――――。
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