~プロローグ~

第2話

1996年 10月。



澄み渡った青い空。

心地よい風。

まるで、私たちを祝福してくれているようだ。



ここは、結婚式の披露宴会場――。



タチバナ 沙織サオリ

現在 24歳。



小さいころから憧れだった純白のウエディングドレス!


そして、私の隣りには・・・・・・。

純白のタキシードを身に纏い、少し照れくさそうな表情をしている私の旦那様!



仲田ナカダ リョウ

現在 25歳。



不器用だけど・・・・・・。

私のことを一番に考えてくれる彼は、幼馴染みで同級生。




もうすぐ、パパとママになるんだよね。


えへへ・・・・・・。

思わず、笑みがこぼれてしまう。




「できちゃった婚」だから、婚約期間ってのはなく、慌ただしく「結婚式」の日取りを決めることになった。

今、妊娠3ヶ月に入ったばかり。




お腹があまり大きくならないうちに、早めに結婚式を挙げておこうと話し合って決めた。

周りの反応は、私たちが突然「できちゃった婚」の報告をしたので、最初はものすごく驚いていたりしたんだけど、「おめでとう」って祝福してくれた。

私たちが結婚式まで漕ぎ着けるまでいろんなことがあったけど・・・・・・。




「今、とっても幸せです」



披露宴も終盤に差し掛かり、私たちが挨拶を交わしていると、男性が1人・・・。

こっちへ向かって歩いてくる。そして、花束を差し出し・・―――。


「サオリちゃん、おめでとう。 幸せになってね」


満面の笑みをこちらへ向けている彼は、学生時代からの友人。

中村ナカムラ トオル

初めて出会った日のことを思い出して、懐かしさが込み上げてきた。


「サオリ。 何で、コイツ 呼んだんだよ?」

「だって・・・早く 仲直りしてほしかったから・・・・・・」

「リョウ! まだ怒ってるのかよ?」


2人は今、喧嘩の真っ最中。

しばらくの間、疎遠になっていた。


そのケンカの原因は、きっと私のせいだよね・・・・・・。


彼等かれら2人には申し訳ない気分でいっぱいだった。

だから、結婚式を切っ掛けに仲直りしてもらおうと思っていた。


「リョウ! いい加減、仲直りしようぜ。いつまでも意地張ってたら、サオリちゃんが気にするじゃないか」


そう、そう。

トオルくんだって、仲直りしたがってるんだから、リョウちゃんも・・・・・・。


なんて、思っていたら・・―――。


「オレは、絶対 お前を許す気になれないからな」


リョウちゃんは、トオルくんの顔も見ずに応えた。

すると、今度はトオルくんが・・・。


「リョウ・・・ オレは、本当にサオリちゃんとお前が、上手くいってほしいって思ってたんだぜ。それなのに、お前がサオリちゃんを1年以上もほっとくから・・・」

「何だよ? じゃぁ、オレの方が悪いみたいじゃんか」


やばい!

険悪なムード・・・。


「ふ、2人とも落ち着いて! 今日は、”結婚式”だよ」


慌てて喧嘩を止めようとして、思わず口走った。

そのとき、2人とも我に返ったのか、冷静になったみたいだ。


「そうだな。いつまでも、昔のことでウジウジしてたら、みっともないよな」

「あぁ そうだよ。また 昔みたいに、親友に戻ろうぜ」


トオルくんが、ちょっとホッとしたかのように、リョウちゃんに相槌を打った。


そう、そう。

良かった! これでもう、仲直り、仲直り。(笑

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