馬場秀明の話 その2
「まあ、そういう訳だな」
馬場はことの経緯を話し終えた。
「そんなことがあったのですね…結局、青い服の男達はなんだったのでしょうか」
「結局はわからんかったな。土地は奴らのものになっていたから営業しなくなってからも出入りはしていたようだけれど。
結局あの土地も建物も放置されたままだったしな」
「何が目的だったか分からないですね…土地や経営権が欲しかった、ということでもなさそうということですよね」
「ああ。嘉代子さんもな、あの男達とうまくやっておったはずなんだがな」
「なぜ、自殺しなくてはいけなかったか、ですよね。経営がうまく行ってなかったというのはありますが、それを気にしていたようにも思えないですし」
「ああ、だからなぁ。明確な犯罪的な行為あった訳でもない。どうしようもないんだよ」
それはそうだろう──と思う。
ただこの男、馬場は、後悔しているのだろうか。
小木津の力になれなかったことを。
小木津を語るときの馬場の声は熱を帯びていた。若かりし頃の記憶が、小木津という男がありありと蘇ってきたのだろう。
「その、青い服の男の名前はわかりますかね?」
「うーん、ああ、なんと言ったかな…
確か、モリサワとか言ったかな、小柄な痩せた男だったよ。登記簿調べれば名前はわかるんじゃないかな」
モリサワという痩せた男…この病院での騒動について何か鍵を握っているのは間違いないだろう。
虎元の聞き込みはここで終えることにした。馬場は何かわかったことがあれば教えてくれ、と言いながら電話を切った。
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