第38話

???「ふっふふ……」

???「どうしたんですか?雨花さん。」


ここは、冥府。今は休憩の時間。「紫雲雨花」は、何やらニヤニヤ笑っている。それをみているのが「不山橙」である。


雨花「橙ちゃん!みてみて!おにゅうの彼岸道具!」

橙「彼岸道具?」


雨花がみせたのは、どこにでもあるような黒いショルダーバッグだった。


橙「これが彼岸道具なんですか?」

雨花「そうだよん!このバックはね。文字通り何でも入るの!制限もない!」


「例えばね……」と、雨花はバッグを開ける。


雨花「こうやって椅子とかも吸い込むように入るし、あとは……ほら!」


雨花はバッグに足を入れると、そのままバッグの中に入っていった。


橙「え!?雨花さん!?大丈夫ですか?」


バッグの中から雨花の声がする。


雨花「大丈夫!!こうやってね神様も入れるし、人間も入れるよ!!重さも関係ないの!」


するとニョイッとバッグから雨花が出てきた。


雨花「どう?すごいでしょ?」

橙「ようは四〇元ポケットみたいなものですね」

雨花「え!?その名前出しちゃうの?!せっかくその名前出さないようにしてたのに!?!?」

橙「でもそのバッグどうするんです?」

雨花「あぁこれを常備するために買ったの」


雨花が取り出したのは、大砲だった。


橙「えっ!あなた立派な傘の武器持ってるじゃないですか!まだ武器が必要なんですか?」

雨花「ちっちっちっち。これはね人を攻撃するためのものじゃないよ!あっまぁ厳密に言うと攻撃にはなるんだけど……」

橙「?、どういうことですか?」

雨花「ちょっとこの大砲の口の部分。嗅いでみてよ」

橙「え?あぁはい……」


橙が嗅ぐと……


橙「く、くっさ!!信じられないほど臭いです!!あっ!!もしかしてこれって!」

雨花「そう!これはね……」


「「エメラルドちゃん第二号です!!」」


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橙「何でそんなもの持ってるんです?!?!」

雨花「いやね。翡翠ちゃんが前に楽しそうにこの大砲ぶちかましてたから面白そうだなって想って、翡翠ちゃんに頼んで作って貰ったの!」


「お得意様だから特別にって四割引きで作って貰ったんだ!」と目を輝かせて言っている雨花。


橙「でも何に使うんですか?」

雨花「それはもちろん瑠璃くんと一緒に橙ちゃn……ごほん。まだ考え中〜」

橙「ちょっと今しれっとサディスティックなこと言いましたよね?ねぇ?ねぇ?!」


雨花は下手くそに口笛を吹いて誤魔化している。それを詰めようと考える橙。


雨花「まぁまぁそんな熱くならないで!ね?……!」

橙「熱くなるに決まってるでしょ?あなたたちのイタズラには毎度毎度手をy……」


バゴォォン!!!!と突如、頭上から何かが降ってきた。そして土埃が舞う。


橙「ゴホッゴホッ……何ですか急に……」

雨花「あいつが来た……はぁ……」

橙「あいつ……?、!」


土煙が徐々に晴れていくと、そこには……


化茶「よっ!あ〜めか!」


猫又の妖怪「化茶」だった。

辺り一面、屋根が壊れ、机も椅子も何もかも破壊され、粉々になっている。


橙「…………」

雨花「こういうこと困るんだけど……」

化茶「なんだよ〜その反応〜こういう登場の仕方の方が絶対に驚くと想ったのに〜」

橙「雨花さん。」

雨花「ん?どうしたn……」

橙「あの大砲借りても良いですか?」

雨花「どうぞ……」

化茶「大砲?そんなもんどうするんだよ?言っとくがアタイには効かないからな〜」

橙「あなた猫又ですよね?」

化茶「そ、そうだけど」

橙「なら大丈夫だ。あなたが猫又なら……」


「「安心してこの匂いで撃退できる!!!!」」


ここから先は、もう地獄絵図だった。


大砲をそこら中に撒き散らす橙に、橙から真っ青な顔で逃げまくる化茶。

冥府中にこの二人の雄叫びと悲鳴、そして大砲の音が轟いた。そして辺り一面シュールストレミングだらけで信じられないほど臭う臭うったらない。


橙「やれやれ!!いけいけ!!!!」

化茶「それ絶対「殺れ殺れ」「逝け逝け」の間違いだろ!?!?」


こうして橙と化茶との攻防戦は、上の神様が止めるまで続いた。橙を必死に止める神様たちはとっても疲れた顔をしていた。それを大笑いしてみている約一名の神様を除いて。


ちなみに、その約一名の力でシュールストレミングだらけになった冥府は綺麗に元に戻り、化茶が壊した物もちゃんと元に戻された。

そして、化茶は橙が雨花とは別の意味で、ヤバいやつと想ったそうな。

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