第34話

???「雨花さん!!次の被告人なのですが……」

???「あら紅緒ちゃん!紅緒ちゃんが伝えに来るの珍しいね。いつもは橙ちゃんを通すのに。何かあった?」

???「この資料をみてください」


ここは、冥府。紅緒は大急ぎで次の被告人の資料を持ってきた。その資料には……


雨花「姓が「不山」でこの過去の持ち主ってことはこの人は……!」

紅緒「そうなんです!」


「「橙ちゃんのお父さん・橙さんのお父様!!」」


雨花「確か橙ちゃんの過去は、ガッチガチの教育お母さんに追い詰められて、お母さんのこともあって友達も失って……それを自分のせいだと想ってる……んだよね。」

紅緒「はい、なのでお父様に会われると橙さんパニック起こしちゃうと想うんです。ケーキをみただけであそこまで怯えるんですから……」

雨花「じゃあこの被告人の裁判は、橙ちゃんの補佐官会議の間でやろう。その時は紅緒ちゃんが補佐官役やってくれる?」

紅緒「も、もちろんです!」


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橙「(想ったより会議早く終わりましたね。これなら雨花さんの裁判に途中から紅緒さんと代われるはず……!)


橙「雨花さn」








雨花「以上で裁判は終了です。お疲れさm……!」

紅緒「橙さん!?まだ時間が……」





ど、どうして





雨花「橙ちゃん。落ち着ける?……わけないよね」





なぜ、なの





紅緒「ど、どうすれば……」





あぁ





「「橙。私は……」」





「「ききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくないききたくない」」


紅緒「!、橙さん!」

雨花「…………」


橙はそう言い続けると黙って走り出して行ってしまった。


紅緒「どうしましょう……」

雨花「…………紅緒ちゃんはそのまんま補佐官の仕事してて。わたしもなるべく早く戻るようにするから」

紅緒「わ、分かりました」


そういうと、どこかへ電話しながら雨花は去ろうとしている。すると、


紅緒「雨花さん!」

雨花「?」


「「私も橙さんのこと支えたいと言ってください!!頼みます!!」」


すると、雨花は笑いながら手でGoodポーズして去っていった。


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『えぇ!橙いなくなったの?』

雨花「そうなの。」


電話越しに話しているのは、桃時である。


『分かったわ。兎白と瑠璃人にも教えとく。今から橙が行きそうな場所探してみる。』

雨花「ありがとう」


そういうと雨花たちは橙を探しに行った。





橙「はぁはぁ」


そうですよね。

私のことがあってお母さんのこともあって

そんな過去を持つ人が雨花さんの管轄にならないわけないですよね。


想わず逃げてしまった。

私は未だに自分の過去と向き合えてない。

過去から逃げている。細い糸の上を一歩一歩正確に歩まないといけなくて、その糸から離れたはずなのに、私は張られていないもう取れた糸に手が絡まって縛られてここから動けない。


ここは……どこ……なの

私は…………どうしたいんだっけ


雨花「みつけた!橙ちゃん!」

桃時「まさかここだとは……!」

兎白「ここは……」

瑠璃人「俺たちの……」


「「修行場だ!!!!」」


橙「みな、さん」

桃時「あんたにとってここはすごく大切な場所なの?」

橙「大切な場所……あ」


橙はようやく自分がいる場所が雨花たちの修行場であることに気づけた。


橙「分からない。気づいたらここにいました」

桃時「そう……気づく余裕がない中ここに来たんだからやっぱりあんたにとってここは大切な場所なんじゃない?」

橙「……どうしてここへ?」

瑠璃人「オレたちが橙の行きそうな場所、関係ある場所を色々探したんだ。橙。お前やっぱり胸の中のぐちゃぐちゃ消えてないんだな」

兎白「橙。何が今苦しい?」


苦しいこと……そんなものすら……何も感じない

そうだよ。私はあの子を……あの子を……!


橙「うぅぇぇぇおぉぉぉ……」

桃時「橙!あんた……」

橙「触らないで!!!!」

桃時・兎白・瑠璃人「!」

雨花「…………」


もうこれ以上……自分の目の前で傷つく人をみるのは……


雨花「橙ちゃん。過去と無理して向き合う必要はない。だって恐いものは恐いんだから。自分の目の前で大切な人や大切なものがなくなったりしたらそれはずっと心の中を縦横無尽、右左斜め色んなところを回り続ける。すると心は疲れてだったらいっその事誰とも関わらないようにしようと考える……今の橙ちゃんのように。」

橙「…………」

雨花「でもね。橙ちゃん。「関わらないようにする」っいう行為で傷つく人もいるんだよ。橙ちゃんが自分で自分を隠すことで苦しくなる人もいるの。橙ちゃんに楽になって幸せになって欲しい。そう願う人もいるんだよ。ちゃんとここに……」


「いるんだよ」と橙の手を握って雨花は告げる。


橙「わたしは消えた方が良いんです。消えないとあなたたちを傷つけることに……」

桃時「あんたなんかに傷つけられるほどアタシはヤワじゃないわ。例え傷つけたならその時はあんたにやり返してやるから。それでおあいこにしてやるの。」

兎白「俺は傷ついても良いから橙と一緒にいたい。ダメか?」

瑠璃人「オレはぜっっっったい消えて欲しくない!!!!オレの初恋奪った責任取れよな……ひひっ」

橙「で、でも雨花さんは……一緒にいたいとは想ってませんよね?だって雨花さんは……!」


すると、雨花は話す。


雨花「そうだよ。わたしは消えたい。」

橙「!、なら……」

雨花「でも、わたしが消えるまで時間はある。それまでは一緒にいられるよ。それだけは約束する。」

橙「そんな雨花さん……」


橙が口を開こうとすると、雨花がその口を塞いだ。


雨花「それから橙ちゃんのお父さんから伝言だよ。聴く?」

橙「え?」


橙はしばらく考えたが、聴くことにした。


橙「聴きます。」

雨花「橙ちゃんのお父さんからは『あの時守ってやれなくてすまなかった。せめてあの世では元気に幸せに暮らしてくれ』だって。」


橙「うぅ……」

雨花「……」


「「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!」」」


橙はそこら中に響く声で泣き続けた。まるで子供のように。


兎白と瑠璃人は黙ってその姿をみていた。

雨花は、橙にしがみつけられどこか困ってるような泣きそうな顔をしていた。


桃時「…………」


《わたしが消えるまで時間はある。それまでは一緒にいられるよ。それだけは約束する。》


桃時「(あんた……あんたはやっぱりどうしても……)


雨がポツポツと徐々に強く降ってくる。この雨に溶け込んでいるのは果たしてどんな想いたちなのだろうか。


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雨花「それから紅緒ちゃんから「私も橙さんのこと支えたい」だって。」

橙「紅緒さんにもお礼とお詫びをしないとですね……」

雨花「「支えたい」って言ってくれてるのにお礼はまだしもお詫びは紅緒ちゃん貰わないと想うよ?」

橙「私の周りは色んな意味で強い意志を持ってる方が多いですね……うふふ」

雨花「あはは。そうだね。」


「(強い意志か。わたしのこの気持ちも確かに強いと言えるのかな……)」


そんなことを考えながら冥府に戻った雨花と橙だった。

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